「アジア最大の広告祭をPRで倍返し!?―SpikesAsia2013 Report」(第1回)

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初日のLowe and Partners のセッションもテーマはズバリ「Social Purpose(社会的目的)」だったし、二日目のcampaign誌主催のパネルでも「Creativity with Purpose(目的ありきのクリエティビティ)」というキーワードが出た。コマーシャルな目的を超えた、社会的目的を明確にしたキャンペーンが際立つ。例えばユニリーバの「Help a Child Reach The Age of Five(LifeBuoy)」。

手洗い石鹸ブランドの将来に向けたブランディング目的も兼ねるが、より高次には、感染症で5歳になる前に死んでしまうたくさんのインドの子供を救う、それが明確なパーパスだ。PR部門のファイナリストに韓国から唯一残っており、セッションでも何回か紹介されていた「BRIDGE OF LIFE(Samsung Life Insurance)」も同様。

高い自殺率が社会問題化する韓国で、「自殺の名所」というレッテルを貼られたソウルのハン川に架かる橋を、ある方法で「命の橋」に変貌させる。どちらも企業の取り組みでありながら、安易なイメージアップ作戦にとどまらず、明確な「目的」がキャンペーンの中心に据えられている。

「ファクト」も「パーパス」も、従来は広告クリエイティブではなくPRが得意とする要素であった。パブリシティなどの戦術うんぬんの前に、根幹のデザインにおいてこれらのエッセンスが年々色濃くなっているのは、カンヌでもすでに言及されている。

さて次回は、最終日のセッションもふまえ、本来のPRの領域がどうクリエイティブに影響をおよぼすか、という軸に話を移してみよう。

本田哲也
ブルーカレント・ジャパン代表取締役。戦略PRプランナー。米フライシュマン・ヒラード上級副社長兼シニアパートナー。セガの海外事業部を経て、1999年、世界最大規模のPR会社フライシュマン・ヒラードの日本法人に入社。2006年、スピンオフのかたちでブルーカレント・ジャパンを設立し代表に就任。


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