O2Oから見るリアルとネットの融合(3/4)イオンの店舗に来る楽しさの演出がカギ

O2Oサービス「ウルトラ集客」をいち早く導入するなど、最新のデジタル施策にも積極的に取り組んでいるイオン。その一方で、老若男女さまざまな利用者がいることから、デジタル施策の推進によりサービス利用に制限が生じることのないよう、誰にでも利用できるサービスの提供に配慮している。イオンでのデジタルマーケティングを担当するイオンリテール 営業企画本部マーケティング部マスメディアチーム 大森智広氏と中島一人氏に話をうかがった。

デジタル施策の導入にも、利用者に混乱与えない配慮

営業企画本部マーケティング部マスメディアチーム 大森智広氏(右)と、中島一人氏(左)

大森:ネットからリアル店舗への誘導を図るために取り組んでいるのが、ソフトバンクテレコムさん、ヤフーさんと共同で実施している020サービス「ウルトラ集客」です。このサービスでは、利用者はYahoo! Japanのトップページに掲載される告知から、クーポン券が当たるキャンペーンサイトにアクセスし、PCやスマートフォンで特典のバーコード情報を取り込みます。それを店頭に設置された端末「ハッピーゲート」にかざすと、商品をお得に購入できるクーポン券を入手できるというものです。日用品をはじめとするメーカーの協力を得て、今年3月からほぼ定期的に実施しています。

店頭に設置された端末「ハッピーゲート」にスマートフォンをかざして、クーポン券を発券してから買い物する仕組み。

ただ単に商品のクーポンを配信するだけにはならないように気をつけています。例えば、いくつかの商品群の中から一つを選んで応募してもらうなど選ぶ楽しみを演出したり、毎月第2週にウェブ上でチラシ展開している「イオンおトク」商品とクーポン告知を組み合わせることで、クーポンの対象商品だけでなく、チラシに掲載されたほかの商品も買ってもらえるよう工夫しています。

中島:ウルトラ集客を導入するにあたっては、売り場でお客さまの混乱を招かないように細心の注意を払いました。スマートフォンを使ったデジタル施策ではありますが、全工程をデジタルで完了させようとすると、お客さまにきちんとお伝えできないことが予想されるからです。例えば、レジでスマートフォンを取り出してバーコードを見せる方式だと、売場係員がお客さまにその場でご案内することになり、結果的にレジが混むことにもなりかねません。そうした混乱を避けるためにも、売り場の外に設置された端末で紙のクーポンを先に発券し、クーポンと一緒に対象商品をレジに持っていってもらうことで、既存のクーポンと同じようにお客さまにわかりやすく、スムーズにレジを済ませることができるようにしています。

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澤地正人(株式会社マックス 取締役)
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