デジタル施策の導入にも、利用者に混乱与えない配慮
大森:ネットからリアル店舗への誘導を図るために取り組んでいるのが、ソフトバンクテレコムさん、ヤフーさんと共同で実施している020サービス「ウルトラ集客」です。このサービスでは、利用者はYahoo! Japanのトップページに掲載される告知から、クーポン券が当たるキャンペーンサイトにアクセスし、PCやスマートフォンで特典のバーコード情報を取り込みます。それを店頭に設置された端末「ハッピーゲート」にかざすと、商品をお得に購入できるクーポン券を入手できるというものです。日用品をはじめとするメーカーの協力を得て、今年3月からほぼ定期的に実施しています。
ただ単に商品のクーポンを配信するだけにはならないように気をつけています。例えば、いくつかの商品群の中から一つを選んで応募してもらうなど選ぶ楽しみを演出したり、毎月第2週にウェブ上でチラシ展開している「イオンおトク」商品とクーポン告知を組み合わせることで、クーポンの対象商品だけでなく、チラシに掲載されたほかの商品も買ってもらえるよう工夫しています。
中島:ウルトラ集客を導入するにあたっては、売り場でお客さまの混乱を招かないように細心の注意を払いました。スマートフォンを使ったデジタル施策ではありますが、全工程をデジタルで完了させようとすると、お客さまにきちんとお伝えできないことが予想されるからです。例えば、レジでスマートフォンを取り出してバーコードを見せる方式だと、売場係員がお客さまにその場でご案内することになり、結果的にレジが混むことにもなりかねません。そうした混乱を避けるためにも、売り場の外に設置された端末で紙のクーポンを先に発券し、クーポンと一緒に対象商品をレジに持っていってもらうことで、既存のクーポンと同じようにお客さまにわかりやすく、スムーズにレジを済ませることができるようにしています。