O2Oから見るリアルとネットの融合(3/4)イオンの店舗に来る楽しさの演出がカギ

ネット施策との連動で売り場を盛り上げる

大森:イオンではまた、エントリーされた商品からお客さまに好きな商品を選んでもらう「イオン総選挙」をネット上で定期的に実施しています。メルマガ会員への告知に加えて、店頭でも販促ツールを大きく告知し、投票期間終了後には店頭で結果発表を行うことで、店頭への誘引につなげています。これに先ほど述べたウルトラ集客を連動させることもあります。また、投票した人には抽選でWAONポイントをプレゼントしていますが、WAONポイントは店頭の端末でしか電子マネーに交換できないため、ポイント付与により来店を促進する効果もあります。

毎月ネット上で実施している「イオン総選挙」。
売り場と連動させることで店頭へ誘引し、売り場を盛り上げている。

中島:これまで、投票するにはイオンスクエアモバイル会員に登録する必要がありましたが、9月上旬の「ヨーグルト総選挙」からは、参加の敷居を下げるために、フェイスブックIDがあれば参加できるようにしました。イオンのフェイスブックページは現在約15万人のファンの方にご覧いただいています。この人たちにもフェイスブックを通じて告知し、気軽に参加してもらうのが狙いです。ヨーグルト総選挙は、開始初日ですでに1万人を超える参加があり、参加条件を緩和した効果が表れています。

大森:参加はパソコンとモバイルの両方から可能です。フェイスブックだけでなくLINE、メルマガなどさまざまな媒体を活用してウェブサイトへ集約し、さらに店頭への流れを作っています。総選挙の実施期間は店頭でも目立つように売り場を作り込むため、対象商品の売り上げにも確実に貢献しています。

中島:ただ、こうしたデジタル施策を推進する際には、スマートフォンやパソコンを持たない人への配慮が欠かせません。イオンにはご年配のお客さまも多いため、シニア世代とデジタルの親和性を高めていくことも重要な課題です。そのための取り組みに、55歳以上のグランド・ジェネレーション世代を意識したGG(Grand Generation)モールがあります。その第一号店として今年5月にリニューアルオープンした葛西店では、この世代向けの関心の高い商品やサービスを提供する店舗をそろえたほか、カフェでタブレット端末を貸し出しています。端末で新聞を読んだり、店内の情報を検索してもらうなどして、デジタルに対する心理的ハードルを取り除き、興味関心の入り口にしてもらうのが狙いです。デジタルに慣れたら、将来的にはネットショッピングの利用にもつなげていければと考えています。

大森:スマートフォンの利用が増えたことで、お客さまの情報収集がますますシームレスなっているのを感じます。より快適に買い物を楽しんでいただくために、新しいデバイスや手法もどんどん取り入れていく必要があると思います。同時に、さまざまなお客さまが存在することを考えれば、ハイエンドになりすぎず、エントリーレベルを保ちながら、自然に取り入れていければと考えています。


【「売れる店頭研究会2013 店頭の新たな未来は」バックナンバー】

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澤地正人(株式会社マックス 取締役)
澤地正人(株式会社マックス 取締役)
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