全入時代、大学の社会的責任(USR)が問われている(4)

大学の社会的責任は全入時代の淘汰の条件に

――これまでの活動を踏まえて、大学の環境活動を発展させるために、これからやっていきたいことはありますか。

小竹 エコ大学ランキングの調査票は、それ自体が環境活動の参考になるように設計されています。より多くの大学に参加していただけるように呼びかけたり、活動の参考になるような情報発信に努めていきたいと思います。

上地 企業の社会的責任=CSRという言葉が普及して久しい一方、大学の社会的責任=USRは、まだまだ認知されていません。教育機関はそれ自体社会的な存在であることを言いわけにしているところがあって、具体的な行動が伴っていない場合が多いと思います。しかし、ハーバードやイエールのような海外の一流大学は、研究はもちろん、USRでも攻めの姿勢を見せており、それが対外的な評価にもつながっています。大学全入時代日本の大学も生き残りをかけてUSRの一環として環境に取組んでほしいと思います。

エコ大学ランキングは、全国の高校や予備校に配布されている『大学探しランキングブック』(大学通信)にも掲載されています。これを基準に受験校を決め、実際に入学して学びはじめている人も出てきており、すでに「環境」は大学選びの条件になりはじめています。

服部 調査を通じて、「やる気があってもやり方がわからない」というケースも多いことがわかってきました。『全国エコ大学白書』には様々な成功事例が掲載されているので、この情報を参考にした活動を支援し、新たな事例につなげていきたいと思います。

 これまでの活動を通じて、やっぱり環境活動はその意義や価値を多くの人に知ってもらわないと始まらないということを実感しています。意識の高い一部の人にしか伝わらない環境情報ではなく、「生活に必要な情報源」という伝え方・見せ方が必要です。そういう観点から、持続可能な社会をつくっていくんだというメッセージを発信していきたいと思います。

中村 三田祭に参加する一人ひとりが自分たちの出すゴミを、責任をもって分別することで、環境配慮行動を意識するきっかけになればいいと思います。それから、20万人の来場者の方々が、ゴミステーションを訪れることで、資源の大切さに気づくきっかけになり、それが毎年続いて三田祭の伝統になっていけばいいなと思います。

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