多くのメディアやコンテンツと連動した広告手法が確立されつつある兆候?
もちろん、上記以外にも番組の意外なエンディングや再放送を望む声なども盛り上がりに寄与したことは間違いない。しかし、それだけでは今までの放送の数倍にわたり検索を説明することは難しいであろう。そして、今回のTBSの最終回に向けての取り組みを冷静に分析するとメディア横断のIMCキャンペーンを行っているといえるのではないか。デジタル出稿が初であるとすると今回我々はひょっとするとテレビ局初の番組IMCキャンペーンを目撃したといえるのかもしれないのではなかろうか?
Owned Media:自社の番組宣伝、放送前の特番、自社サイトやアカウントの活用
Earned Media:自社ソーシャルアカウントの活用、特設アカウントの開設
Shared Media:他番組とのコラボ企画、コンテンツ連動CM
Paid Media:デジタルの広告出稿
記事中に一部“禁じ手”や“便乗”など、ネガティブな言葉が出現しているのであるが、筆者はこれらを基本的に好ましいことであると考えている。良い番組=コンテンツは形を変えてPaidを含めた各種メディア上で拡散し、その相乗効果でより大きな広告効果を発揮する。強化されたコンテンツと連動したCMは通常の広告より大きい効果=売り上げをもたらす。結果としてコンテンツ(番組)にかける予算も増やすことが可能になる。効果がある告知であれば企業もより多くの費用=製作費、広告費を捻出することが出来るという好スパイラルをもたらすことにつながる。
広告により商品が売れ、企業収益が改善するのでより投資が可能になるとまさに現在の景気回復基調を下支えするようなことにつながっていくのではないか。民放ドラマ最高視聴率樹立ということはめったに起こらない。当事者しかわからないデータなどもありそれらを総合的に分析し、ノウハウを共有することが重要ではなかろうか。
さらに言うと、半沢直樹はコンテンツとして海外に進出するであろうと筆者は考えている。これは日本では“過去の経済大国を見てみたい”というインサイトに対して、新興国では若い世代と同じような“これからの経済発展で来る社会を知りたい”というインサイトが生まれてくるであろうと予想するからである。
筆者の予想ではこの現象はかつて“おしん”が海外で流行した流れと似てくるであろうと考えている。経済大国であった日本のルーツが実は新興国の発展状況と同じと国民が感じた時期に“おしん”は流行ったのではなかろうか。そして筆者の記憶では“おしん”のヒットの後にはその国では日本のファッションブランドを中心に文化が浸透していったということが起きたのである。半沢直樹も海外進出する際には日本のビジネスシーンに連動した各種商品やビジネス慣習そのものが流行ることも予想できる。
ぜひ、共同の研究などを通じて成果が出た際にはこのコラムの“続編”も実現したいと考えている。