日経広告研究所は27日、2012年の「有力企業の広告宣伝費」を発表した。
これによると、非上場の有力企業を含む4088社(以下、「有力企業」とする)の単独決算ベースの広告宣伝費総額は、前年度比4.65%増の2兆3661億円。上場企業3571社の広告宣伝費は同4.46%増の2兆2222億円で、いずれも2006年度以来の増加となった。
連結決算ベースの広告宣伝費は、有力企業で同6.61%増の5兆3142億円、上場企業で6.88%増の5兆1596億円となり、2010年度以来の増加となった。
売上高に占める広告宣伝費の割合は、単独決算ベースでは有力企業で1.01%(前年度比0.05ポイント増)、上場企業が1.05%(同0.04ポイント増)だった。
12年度は、上期が東日本大震災後の広告活動自粛の反動で増加、下期は9月に起こった尖閣領有権問題による日中間の輸出低下や観光産業の落ち込みなどが影響したものの、13年1月からはアベノミクスの影響などによって金融や自動車を中心に回復し、12年度全体で4.65%の伸びとなった。
単独決算の企業別ランキングは、パナソニックが635億円で1位。前年度比14.87%減となったものの、5期連続での首位となった。
2位は594億円でトヨタ自動車(同38.85%増)、3位は521億円で花王(同1.82%増)、4位は481億円で本田技研工業、5位は348億円でNTTドコモ、以下、三菱自動車工業、ヤマダ電機、KDDI、スズキ、アステラス製薬と続いた。
連結決算の企業別ランキングは、ソニーが3549億円で5期連続のトップ(前年度比0.6%減)。2位は3308億円でトヨタ自動車(同8.58%増)、3位は2540億円で本田技研工業(同30.08%増)。ホンダは日産自動車を抜いて前年度4位から順位を上げた。
上場企業の業種別(36業種)にみた単独決算広告宣伝費では、伸び率が前年度比プラスの業種が23業種と前年度に比べ7業種増加し、マイナスの業種は11業種で6業種減となった。なお、海運・保険は、広告宣伝費が計上されておらず比較できなかったとしている。
単独決算で広告宣伝費が計100億円以上の業種は19業種。なかでも増加率が大きかったのは、その他金融(38.13%増)、自動車(20.23%増)、不動産(18.07%増)、サービス(9.99%増)、機械(9.84%増)だった。その他金融は05年以来、自動車・機械は07年以来、不動産は08年以来の増加。一方で減少率が大きかったのは、電力(31.17%減)、電気機器(6.14%減)、通信(5.35%減)、ゴム(4.67%減)、ガス(4.21%減)など。
1000億円以上の広告費があった業種は、金額が多い順に小売業、自動車、食品、サービス、電気機器、化学、医薬品。上位7業種の顔ぶれは変わらないものの、自動車が昨年4位から2位へと順位を上げた。
単独決算の企業別ランキング上位10位は以下の通り。
(注)
本調査は、日本経済新聞デジタルメディア社のNEEDS 日経財務データをもとにしており、単独決算ベースでは上場企業3571社および有価証券報告書を提出している非上場企業290社の計4088社、連結決算ベースでは上場企業3002社および非上場企業290社の計3292社を対象としている。
広告宣伝費の集計は、有価証券報告書を提出し、そのなかで広告宣伝費を公表している企業を対象にした。前年度比伸び率は、両年度ともに広告宣伝費を公表している企業に絞って算出。売上高に占める広告宣伝費の割合は、当年度に双方の費目を公表している企業に絞って算出した。