消費者の支持率70%超で商品化―新PB「みなさまのお墨付き」の成功理由――西友

消費者テストで支持率70%未満はボツ

seiyu

マーケティング本部 プライベートブランド兼デジタルマーケティング担当ダイレクター 越智 幸三 氏

米国ウォルマートとの提携後、西友はEDLP(エブリデー・ロー・プライス=毎日低価格)戦略を軸に「お客さまがよく知っているものを安くご提供すること」、つまりナショナルブランドの低価格化に取り組んできました。また、近年は、よりバラエティに富んだ消費者ニーズにお応えするため、ウォルマートの調達網を活用した直輸入品と西友独自のプライベートブランドの強化にも力を入れています。

2012年12月に立ち上げたプライベートブランド「みなさまのお墨付き」の開発で重視したのが、「安かろう、悪かろう」のイメージからの脱却です。目指したのは、「ナショナルブランドと同等以上の品質ながら価格は安い」というプライベートブランドの本来あるべきポジションです。そのポジショニングをわかりやすく消費者の皆さんにお届けするために行き着いたのが「お客さまが認めたものだけを商品化する」というアイデアです。1製品につき100人以上の一般消費者に厳正に評価いただくテストを、商品開発のプロセスに取り入れました。主婦が中心ですが、お酒など商品によっては男性にも加わってもらい、年齢、地域は基本的に人口分布に合わせています。味、量、価格の各指標で評価いただき、「非常に良い」もしくは「良い」と評価いただいた方の割合が全体の70%を上回ったもののみを商品化しています。たとえ、69.8%が「非常に良い」「良い」の評価でも不合格とし、見直しを徹底しています。また、開発時にこのテストをパスしてもそこで終わりません。1年半から2年に一回、再テストを繰り返しています。このプロセス導入により、社内の意識は大きく変わり、より価値のある商品開発にチャレンジする風土が生まれました。商品カテゴリーによって異なりますが、現在の合格率は約7割です。

高い支持率の訴求で前年比120%の売上を達成

商品開発だけでなく、そのパッケージデザインにもこだわっています。「みなさまのお墨付き」のイメージにふさわしい墨文字のロゴを採用し、対抗商品と同等以上の品質であると感じさせることや、各商品を買う時の消費者の“気分”に合わせることも重視しています。また、5月からは、全ての商品の消費者“支持率”を店頭で公表し始めました。支持率は商品によって異なりますが、90%のものが70%のものよりも売れるといった売上の差はありません。つまり、70%以上という高い支持率の商品だけを商品化しているという姿勢が、消費者から前向きに評価されているようです。TVCMでも、消費者テストでみなさまから「お墨付き」をいただいた商品であることを訴求しています。この結果、プライベートブランドの売上実績は、数量ベースで前年比120%となりました。また、4月に行われた消費者調査では、メーカーのブランドに劣らない品質と評価されるようになりました。

今後のチャレンジは3つあります。1つ目は、クリエイティブな商品アイデアやパッケージデザインを生み出し続けられる仕組みづくり。もう一つは、商品のさらなる品質向上とその安定化。そして、取引先とのさらなる協業です。常にお客さま視点で日々の業務を改善し続けることが、強いブランド価値を築きながらもスピーディーに成長していくために不可欠と考えています。


(次回予告)
次は、森永製菓です。

販促・集客メディアフォーラム事務局 2013
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