第50回宣伝会議賞グランプリ・日野原良行さんに聞く――オリエンテーションとの向き合い方

宣伝会議賞の課題は、実際にある商品・サービスをテーマとしています。ですから、商品を知らずして、良いコピーは書けません。「宣伝会議」11月号(10月1日発売)には、課題企業40社からのヒントとして、各課題の①ターゲットや市場環境、②特徴やセールスポイント、③応募作品に期待すること、制作にあたっての注意点をまとめた、「誌面オリエンテーション」を掲載しています。

ただ、これを作品づくりにどう活かせばいいかわからない!という方も多いのではないでしょうか。今回は、第50回宣伝会議賞でグランプリを受賞した日野原良行さんに、オリエンテーションとの向き合い方を聞きました。(宣伝会議11月号掲載記事より抜粋

日野原良行(ひのはらよしゆき)/ズームデザイン コピーライター
2012年ズームデザイン入社。コピーライター2年目。宣伝会議賞でグランプリを受賞するも、思いがけぬハプニングで賞金を使い果たす。主な担当クライアントは、パナソニック、TOTOなど。
▼第51回 宣伝会議賞▼

オリエンから得たヒントが、いいコピーを連れて来る。

オリエンにはたくさんのヒントが隠されているものです。商品のスペック、クライアントの想い。そういった情報の中に、いいコピーを書く材料が存在しているのです。そして、それは実務に限った話ではありません。宣伝会議賞でも同じことが言えると思います。

10月1日になったら、まず誌面でオリエンを確認。どんなコピーを求めているのか。何をどのようにしたいのか。企業の想いを読み解いて、さっそくコピーを書いてみます。内容を理解したての新鮮な脳みそのほうが、より直感的で、より素直なコピーが書けたりするからです。

岩崎俊一さんが書かれた日本郵便の「年賀状は、贈り物だと思う。」というコピーも、オリエンの場で思いついたそうです。とはいえ、最初から名コピーが生まれるケースも稀ですので、時間をかけてコツコツと考えていく。困ったときはオリエン内容を読み返せばいいのです。

さて、ここで、僕が『SKAT』を読みながら感じた大切そうなことをいくつか挙げてみようと思います。

まずは、オリエンにきちんと応えること。第50回でIMAXの協賛企業賞を受賞した、「映画館に入る?それとも映画に入る?」(赤坂陽平さん)というコピーは、「普通の映画館との違いを表現してほしい」というオリエンに対して、かなり忠実です。

次に、ビジュアルに注目すること。第45回の課題のひとつ、遠近両用レンズメガネである「ホヤラックス」のオリエンには、メガネをあげてメニューを見ている人のイラストが使われていました。それに対して協賛企業賞を獲ったコピーは、「同窓会で初恋の人がメガネを持ち上げてメニュー見てたら、ちょっとショックだ。」(野村京平さん)というもの。ビジュアルがヒントになっている気がします。

そして最後は、裏をかくこと。ヤマサ昆布つゆの「忙しくなくても、使いたくなる。」というコピーは、「忙しい主婦にうれしい」というオリエンでの要点を強調するため、あえて忙しくない状況を描いています。

僕が第50回でグランプリをいただいたエヌ・ティ・ティ・ドコモのメール翻訳コンシェルも、裏をかいて生まれたコピーでした。オリエンには、「メールを3カ国語に翻訳できる」とあります。それを「メールが翻訳できて便利」と言っても普通すぎる。だから、迷惑メールを題材にしたわけです。

コピーはゼロから作り出すものではないので、提示された情報をヒントにしながら、少しでもいい方向に持っていけたらいいなと思っています。

AdverTimesに掲載していた日野原さんのコラム
打席はそこらじゅうにある
運の強い人は、意志の強い人。
宣伝会議賞グランプリを獲るために
それは、世界を愛する仕事。

▼第51回 宣伝会議賞▼
第51回 宣伝会議賞
第51回 宣伝会議賞
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