おかげさまで当社発行『ブレイクスルー ひらめきはロジックから生まれる』がご好評いただき、多くの反響をいただいております。
読者の方からも実践の場が欲しい、もっと事例を知りたい、効率的で体系的な方法で短期間のうちにトレーニングしたいなどの要望をいただき、この秋、企画発想力を養う講座を開講することになりました。
著者である木村健太郎氏、磯部光毅氏の両名が本には載っていない最新事例の解説や一歩先行く企画発想のノウハウを指導。ビジネスに使える企画発想力を、具体的な実践トレーニング、ワークショップで徹底的に学びます。ビジネスにおいてアイデアが枯渇しているあなた。企画発想力はトレーニングで身につきます!
本連載は、書籍『ブレイクスルー ひらめきはロジックから生まれる』と連動し、10月27日に開講する「企画発想力養成講座」の開講にあわせて、ブレイクスルーを生み出すトレーニング(1):発想思考診断と6つの発想ロジックに続き、掲載します。
青木ヶ原樹海に行ってみた。
僕は大学生のころ、友達とよく富士山麓にある青木ヶ原樹海を探検しに行きました。一度迷ったら出ることはできないと言われているあの広大な原生林です。道なき道をしばらく歩いていくと地図に載っていない秘密の風穴があるのです。
怖いもの知らずで無謀な当時の僕らでしたが、靴だけは必ずちゃんとしたものをはいて行きました。サンダルや革靴、ハイヒールでは長い間自由に歩けないし、転んで怪我をしてしまうかもしれないからです。
そしてもうひとつ、僕らは来た道を忘れてしまわないために、分岐点があるたびに小枝を落として矢印をつけました。さらに当時はGPSなんてなかったので、コンパスを持ち歩いてどちらの方角に向かっているのかを把握していました。コンパスが効かないときは太陽を頼りにしました。この先に目的地はなさそうだなと思ったら、すぐに引き返してどの分岐点で間違ったかチェックしました。どんなにいい靴を履いていても、自分が今どこにいるのか、どの方向に向かっているのかがわからないと、歩けば歩くほど樹海の奥深くに迷ってしまい、風穴どころか元の場所にさえ戻れなくなってしまうからです。
靴とコンパス
拙著『ブレイクスルー ひらめきはロジックから生まれる』は、街と森(意識と無意識)の話から始まりますが、この企画発想力養成講座では、森の歩き方について徹底的にトレーニングします。街に解決策が見つからないと思ったら、アイデアを探しに森へ入り込んでクリエイティブジャンプを試みるのですが、森を歩くときに最低限必要なものは、さきほど述べたように山を歩くための「靴」と自分の位置を知るための「コンパス」です。
前回磯部君が書いた6つの森の発想法(1日目のカリキュラム)とは、靴のことです。スノーブーツ、登山靴、長靴など、いろいろな靴を自在に使いこなせるようになれば、雪道や高山や沼地も怖がらずに歩けるようになりますよね。同じように苦手な発想法を体得すれば自分の苦手な発想の道筋にもずんずん足を踏み入れるようになるはずです。ですからこの講座の受講のコツは普段の自分があまりやらない発想法を意識的に試してみることです。
そして、2日目は、コンパスの読み方について特訓します。課題演習を通じて、自分が思考のどの領域を歩いているのか、いい解決方法がブレイクスルーできずに詰まってしまったら、どこで迷ってしまっているのかを自覚して、その時どの方向に突破の道筋があるのかを瞬時に把握できるようになるためのトレーニングをしようと思っています。これによってブレイクスルーまでの時間が飛躍的に速くなるはずです。
身体で覚える。頭で覚える。
自転車の乗り方マニュアルを何度精読しても、自転車に乗れるようにはなりませんよね。サーフィンの本を読んでも波に乗れるようにはなりません。まずは誰かのフォームをマネして自分で試してみる。そして何度もバランスを崩したり転んだりすることが先決なのです。
書籍や講義が役に立つのはその後です。自分がなぜうまくいかなかったのか客観的に体系的に分析して、どうすればうまくできるようになるのかを身体で覚えていくのです。僕は、何事も「体験あっての理論」だと思っています。(とはいえ受講されるみなさんは本は読んできてくださいね。)
チーム・ブレイクスルー
これは、チームで課題に立ち向かうときも同じことが言えます。本書でも軽く触れているとおり、チーム・ブレイクスルーを起こすためにはそのための技術がありますが、その技術は、まずはやってみて後でレビューすることでのみ体得できます。チーム員の集合脳が最大のパフォーマンスを発揮すれば、自分一人ではたどり着けなかったであろうブレイクスルーを起こすことができるのです。
ブレイクスルーの瞬間は最高に気持ちがいいものです。是非この気持ちよさを体験していただけるような、楽しい2日間にしたいと思います。みなさんと会える日を楽しみにしております。
(木村健太郎)
企画発想力養成講座 詳細
講師:木村健太郎(博報堂ケトル)、磯部光毅(磯部光毅事務所)
会期:2013年10月27日(日)・11月9日(土)2日集中
時間:13:00 – 18:00
場所:東京・南青山周辺
料金:30,000円(税込)
定員:50名(定員に達し次第締切)
お申込みはこちらから可能です。
木村健太郎(きむら・けんたろう)
博報堂ケトル 代表取締役共同CEO/エグゼクティブ クリエイティブディレクター/アカウントプランナー
1969年生まれ。一橋大学商学部卒業後、1992年博報堂入社。戦略からクリエイティブ、PR、デジタルを越境した統合的なプランニングスタイルを確立し、2006年博報堂ケトルを設立。従来の広告手法にとらわれない「手口ニュートラル」というコンセプトで、アイデアを沸かして世の中を沸騰させるコミュニケーションを提案・実施している。
磯部光毅(いそべ・こおき)
磯部光毅事務所 アカウントプランナー/コピーライター
1972年生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、1997年博報堂入社。ストラテジックプランニング局を経て、制作局(コピーライター)へ転属。2007年4月独立、磯部光毅事務所設立。戦略畑、クリエイティブ畑両方での経験を活かし、単なる広告開発に限らず、経営戦略、商品開発、コミュニケーション開発、情報戦略立案から、コピーワークまで、全バリューチェーンを横断的にプランニングすることを得意とする。
『ブレイクスルー ひらめきはロジックから生まれる』の著者である木村健太郎氏(博報堂ケトル)、磯部光毅氏(磯部光毅事務所)が、ビジネスに使える企画発想力を具体的な実践トレーニング、ワークショップで徹底的に指導します。
開催日:2014年07月05日(土)、2014年07月19日(土)全2回