スティックという新カテゴリーをつくる
インスタント、レギュラー、チルド、ボトルコーヒーなど、コーヒーにはさまざまなカテゴリーがあります。その中でスティック市場は、ブレンディスティック発売時、2002年に生まれました。
他社が参入し、価格競争が激しくなる中で、ブレンディスティックは価格を落とすことなく、2桁成長を続け、現在市場シェアの5割を占めています。またスティック市場も発売から11年で4倍に成長しました。その市場をつくりあげるために私たちがどんなことを考え、何をしてきたのか、今日はお話したいと思います。
新カテゴリーをコーヒー市場につくっていく上で重視したのは、購買のディシジョンツリーのできるだけ早い段階で選択してもらえるブランドを確立すること。インスタントコーヒーが個別包装になっただけではない、スティックという新しい価値をどう見せるか、ということでした。
当初、消費者は「スティックコーヒーは便利でおいしいけれど、個別だから割高」というイメージを持っていました。一方で「自分で淹れるインスタントよりも味が安定しておいしい」「個別包装だから鮮度がいい」という声も。また、こだわりのある飲料ゆえに味を決められなくない、扱いが簡単であることをPRするとユーザーに罪悪感が生まれるなど、一つの商品の中にさまざまな矛盾をはらんでいました。
それらをつぶしていく中で新しいスティックコーヒーのあり方が見えてきたんです。メーカーとしては最高の味や香りを提供すべきですが、スティックコーヒーはあえてユーザーが選択する際に自由度の高い商品にしようと決め、カテゴリーの地盤を広げて勝負することにしました。
「スティック」に徹底的にフォーカスしたコミュニケーション活動
次に力を入れたのは、スティックコーヒーの形を認識してもらうことでした。嗜好品は毎日使うもの、時間をかけずに店頭で選びたい。さまざまな飲料の、さまざまなパッケージが並ぶ中で棚を見た瞬間に「スティックコーヒー」とわかるよう、箱のパッケージを採用しました。
そこからは「スティックコーヒー」を広めるコミュニケーション活動を徹底。テレビCMでは♪スティック、スティック~と歌いこみ、映像に文字も入れ、スティックの形も強調しています。
ユーザーの好意度やクリエイティブの面白さは二の次で、とにかく「スティック」にフォーカス。交通広告や店頭POPなどすべての媒体で同様のことを行ってきました。
その結果、コーヒーのカテゴリーに関する調査でスティックコーヒーの認知は純粋想起で35%、スティックコーヒーのブランドは?という質問では60%強がブレンディと答えてくれています。「スティック」にこだわってあらゆることをやりきった結果、カテゴリーとブランドの一体化を図ることができました。
いま〈ブレンディ〉はコーヒーだけではなく、紅茶やココアなどのカテゴリーにも広がっています。飲料のカテゴリーを広げる商品をつくれたのは、さまざまな活動によって培われたブランドの包容力があってこそだと感じています。