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【連載】「電信柱の陰から見てるタイプの企画術」――福里真一
1、はじめに
2、第1回「電信柱の陰からおずおずと語りはじめる」(こちらの記事です)
3、第2回「幼稚園では藤棚の柱の陰だった」
特別対談「企画術は本当に役立つのか?」(1)
特別対談「企画術は本当に役立つのか?」(2)
特別対談「企画術は本当に役立つのか?」(3)
特別対談「企画に向いているタイプとは?」(1)
特別対談「企画に向いているタイプとは?」(2)
特別対談「企画に向いているタイプとは?」(3)
第1回「電信柱の陰からおずおずと語りはじめる」
福里真一(ふくさと・しんいち) ワンスカイ CMプランナー・コピーライター
うーん、どうなんでしょうね、こういう連載とかって。
そんなに、みなさんのためになるようなことが書ける気もしませんし、正直、面倒くさいですし。あ、すいません、正直すぎましたか。
とにかく、この、連載をもつ、とかいう状況が、なんか、自分にまったく似合ってない気は、します。
でも、広告界も厳しいわけですよ。何が厳しいって、いわゆるクリエイターと呼ばれる職種の人々が、個人名で仕事をするようになってきまして、要は、指名されないと仕事がない。
そうすると、知られてないと指名されませんから、ある程度有名になることが求められる。そういうのが、みなさん、また、うまいんですよね。
たとえば、箭内道彦さんという人がいますね。すごくないですか、あの人。
とにかく根本的に私とは違う種類の人間なんですよね。以前ご本人に聞いたことがあるんですが、箭内さんて、高校時代、バンドをやっていたこともあって、自宅の前にファンが集まりすぎて、自宅に帰れなくなったこともあるらしいんですよ。
人気者ですよ、人気者。うらやましいと言うか、なんと言うか、まあ、うらやましいですよね。
この間も私が打ち合わせでシンガタという会社にいたら、ふらっと箭内さんがやってきたんですが、その瞬間にふだんは陰鬱な(?)その会社の雰囲気が、ぱっと明るくなりまして。デスクの女性たちも、見たことがないような笑顔を浮かべてまして。(あ、すいません、シンガタの方々にこの部分は読ませないでください。まあシンガタはたぶん宣伝会議は定期購読してないと思うので、大丈夫だと思いますが)。
で、そういう箭内さんみたいな人気者を、この連載のタイトル通り、電信柱の陰から、うらやましく思ったり、無関心を装ったりしながら、じっと見ていた、というのが、私なわけです。
そんな私が、箭内さんだけでなく、他にもキラキラした人がうじゃうじゃいる広告クリエイター市場で、戦っていかなければならない。ある程度、目立って、指名されていかなければいけない。
…無理です。でも、無理だ無理だと言っていて、餓死するわけにもいかないので、そのための第一歩として、この連載を引き受けたわけです。自分に鞭打って。
≫次ページに続く 「要は、売名行為ですよ、売名行為!…」