「電信柱の陰から見てるタイプの企画術」(2)――福里真一


【連載】「電信柱の陰から見てるタイプの企画術」――福里真一
1、はじめに
2、第1回「電信柱の陰からおずおずと語りはじめる」(こちらの記事です)
3、第2回「幼稚園では藤棚の柱の陰だった」
特別対談「企画術は本当に役立つのか?」(1)
特別対談「企画術は本当に役立つのか?」(2)
特別対談「企画術は本当に役立つのか?」(3)
特別対談「企画に向いているタイプとは?」(1)
特別対談「企画に向いているタイプとは?」(2)
特別対談「企画に向いているタイプとは?」(3)


要は、売名行為ですよ、売名行為!だめなんでしたっけ、売名行為って。

でも、売名させていただくぶん、みなさんに少しは役に立つようなものを書きたいと思っています。

…とも思おうかとしましたけど、正直、あんまり思ってないんですよね。

というのも、宣伝会議って、頭からおしりまで、なにかのためになるとか、役に立つとか、そういうことを目指した記事ばかりじゃないですか。

あまりにもそういう記事ばかりだと、読者のみなさまも疲れてしまうんじゃないかと思いまして。そういうのじゃないページが少しだけあってもいいんじゃないかとも思っているんです。

しかし、人間って、どれだけがんばり続けるんでしょうね。サントリーの缶コーヒーBOSSの「宇宙人ジョーンズ」シリーズというCMで、こういうナレーションを書いたことがあります。

この惑星の住人は、
何万年もの間、働き続けてきた。
サルのままのんびり暮らしていた方が、ラクだったと思うのだが。

やはり、自分がいつか死ぬ、という認識を持ちながら生きる、という特殊な性質が、サルであることをやめさせ、人間を異常にがんばらせてしまうんでしょうね。

「たった一度の人生だから」というキャッチフレーズは、陳腐なようであっても、なかなか抵抗できない力をもっています。

だからこそ、あなたのように何かを求めていま宣伝会議を読んでいる人もいるし、私のように何かを求めて(?)面倒くさがりながらもこうして連載記事を書いている人もいる。

あのツイッターというものを、私はやってないんですが、妻がやっているので、時々のぞかせてもらうんですが、(その行為自体、電信柱の陰的ですが…)あれを見ていると、本当にがんばる気満々ですよね、人類。

誰々の話を聞いて元気をもらった、とか、これは何かのヒントになると思った、とか、そういうつぶやきだらけではないですか?ホモサピエンスというより、ホモポジティブネス。それが人類。

そして、この宣伝会議という場は、広告界におけるそういうホモポジティブネスの牙城とも言えるかもしれない。

「電信柱の陰」という場所は、決してそういう人類のホモポジティブネスぶりを、からかったり批判したりする場所ではありません。

むしろ基本的には「みんなえらいなー」と感心し、時には積極的に電信柱の陰から身を乗り出して自分も祭りに参加したりもする。

でも、次の瞬間には、電信柱の陰にぱっと引っ込んで、様子を眺めるのに徹したりもする、そういう場所です。なんかこう書いてると、ただのずるい人みたいになってますが…。

そういう電信柱の陰が、宣伝会議の片隅にひっそり、ある、ということはいいことであるような気もしますが、どうでしょう。

うーん、でも本当は別にそんな場所なくてもいいような気もしますね、自分で言い出しておいてなんですが。どうなんでしょう。

甚だ歯切れが悪くてすいませんが、とにかくそんなような連載にしていけたらな、と思っています。(あ、もちろんタイトルにある、企画術についても、次回以降ちゃんと書くつもりです)

まああくまでも、宣伝会議さんが、来月もこの連載を続けてくれた場合、ということですが。
(次回に続く)

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【連載】「電信柱の陰から見てるタイプの企画術」――福里真一
1、はじめに
2、第1回「電信柱の陰からおずおずと語りはじめる」(こちらの記事です)
3、第2回「幼稚園では藤棚の柱の陰だった」
特別対談「企画術は本当に役立つのか?」(1)
特別対談「企画術は本当に役立つのか?」(2)
特別対談「企画術は本当に役立つのか?」(3)
特別対談「企画に向いているタイプとは?」(1)
特別対談「企画に向いているタイプとは?」(2)
特別対談「企画に向いているタイプとは?」(3)

福里真一(ふくさと・しんいち)ワンスカイ CMプランナー・コピーライター
1968年鎌倉生まれ。一橋大学社会学部卒業。92年電通入社。01年よりワンスカイ所属。いままでに1000本以上のテレビCMを企画・制作している。主な仕事に、吉本総出演で話題になったジョージア「明日があるさ」、樹木希林らの富士フイルム「フジカラーのお店」、トミー・リー・ジョーンズ主演によるサントリーBOSS「宇宙人ジョーンズ」、トヨタ自動車「こども店長」「ReBORN 信長と秀吉」「TOYOTOWN」、ENEOS「エネゴリくん」、東洋水産「マルちゃん正麺」など。その暗い性格からは想像がつかない、親しみのわくCMを、数多くつくりだしている。

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