皆さんはじめまして。
Jリーグメディアプロモーション、アジア室の山下と申します。現在、約5名のコアメンバーを中心としたチームで、Jリーグのアジア戦略を推進しています。
なぜJリーグがアジアに?ということの説明は、この後詳しく書きますが、最近は、新聞や雑誌、WEB、テレビなどでJリーグが取り組むアジア戦略のことを少しずつ、話題にしていただけるようになってきました。
目指すべきゴールはずっと先なのですがこの取り組みが、どのような背景で立ち上がったのか。そしてどのようにプロジェクトをチームのメンバーと共に進めてきたのかをこれから、綴っていきたいと思います!
Jリーグのアジアへの新しい挑戦の話が、少しでも皆さんのお仕事に役立てばと思っています!
20周年を迎えたJリーグ
1993年に開幕したJリーグは今年20周年を迎えました。当初10クラブ(8府県)でスタートし、20年で40クラブ(30都道府県)にまで拡大してきました。またJ1の平均観客数も1試合あたり約1万8000人と、日本全国のホームタウンにとって地元のクラブが地域振興にもつながるような存在になってきました。そんなJリーグがアジア進出・展開をしたいと思い始めたのは、2009年に遡ります。
2008年秋に起きたリーマンショックにより、多くの企業の業績は非常に厳しくなりました。Jリーグは放送権料などと合わせて多くの企業の協賛金により支えられていますが、企業の業績が厳しくなる中、広告宣伝費をはじめあらゆる項目で経費削減が始まりました。
未曾有の不景気が、Jリーグにも大きな影響をおよぼすことが予想される中、これまでの協賛金を収入の柱のひとつとしたビジネスモデルに加えて、新たなビジネスモデルができないものかと検討を始めました。その中で、目をつけたのがアジアだったのです。
日本がいつまで経っても「リーマンショックの影響で…」と不景気の言い訳を続けている中、アジア、特にASEAN各国はいち早く経済を立て直し、高い成長率を維持し、活況を呈していました。その様子を見て、Jリーグも経済的に勢いのあるエリアからお金をいただくビジネスモデルを考えれば良いのではないか!そう思い、JリーグがどうすればASEAN各国からお金がもらえるのかを考え始めました。
しかしASEAN各国では欧州サッカー、特にイングランドプレミアリーグの人気が絶大でした。観客数は、ドイツのブンデスリーガが世界で一番ですし、競技レベルでもマーケティングレベルでも、Jリーグとしてのセールスポイントが全く見えてきませんでした。
「弱かったこと」が強みになる?!
しかし、ここで諦めてしまっては何も始まりません。絶対に何かあるはずだと思い、Jリーグの価値を考え続けた結果、あることに気が付きました。それは一見、欧州中心のサッカー界からすると弱みでしかないことが、Jリーグの強みになるのではないかということでした。それは
1:弱かったこと
2:歴史が浅いこと
3:アジアにいること
の3つです。
弱かったことが強みになるとはどういうことなのでしょうか?
日本サッカーは30年前、つまりJリーグが発足する10年前は、ASEAN各国にも勝てないような状況でした。しかしJリーグ発足後は飛躍的な成長を遂げ、ワールドカップの常連国になり、アジアでは最高レベルにまで成長してきました。かつ、それを20年で成し遂げてきました。弱かった国が短期間でここまで強くなるということは、世界にも他に例がなく、その強くなるステップやノウハウ、スピード感は、日本にしかないオンリーワンの強みでした。
また、これからアジアが世界経済の中心になっていくこと、そしてそのアジアの一員として、共に成長していきましょうというメッセージが発信できることも、欧州や南米にはできない非常に大きな強みになると考えました。
新たなビジネスモデルはコンサル?!
そこで、Jリーグとして、開幕から20年弱で築いてきた育成やリーグ運営ノウハウをもとに、ASEAN各国に対してコンサルティングを行っていくことが、ひとつのビジネスになるのではないかと考えたのです。コンサルティングであれば、利益率も高いですから、そこでいただいたお金でJリーグの人気の向上につながる新たな投資が行えるようになると考えたのです。
しかし、「アジア!アジア!」と言いつつも、アジアサッカーの実態を全然把握できていない状況でしたので、全くもって説得力がなく、とても周囲の賛同をもらえるような状況ではありませんでした。
まずは、カンボジアを目指す!?
そこでアジアサッカーの現状をなんとかして現地で調べたいと思い、一計を案じ、強い信念を胸に2011年1月、カンボジアへと飛び立ったのでした。451枚のユニフォームを持ち…。なぜカンボジアなのか!?なぜ451枚のユニフォームを持って行ったのか!?それは次回詳しく綴りたいと思います。
(つづく)