2万「いいね!」の原動力は社員――「電通報」Web化の背景を聞く

タブレットを意識したサイトデザイン

――サイトデザインが特徴的ですが、どんな意図を込めていますか。

小川 PCからタブレットでのアクセスに移行していることを踏まえ、タブレットで見やすいデザインを心がけました。記事内容に関心を持ってもらうため、文字を大きく出すことも心掛けたことです。

サイトの設計などについては、CDC(コミュニケーション・デザイン・センター)クリエーティブディレクターの佐々木康晴を中心に、CDC内にチームを組んでもらい、検討を重ねました。

また「電通人語」を開設した目的でもありますが、今後は電通だから仕事が来るということではなく、電通内の個人に仕事を依頼されるようになると考えています。ウェブ電通報はそうした優れた人材をアピールする場にもなります。そのため、サイト内に登場する社員のプロフィールを一覧できるページもつくりました。

――そもそも、電通報は電通の企業PRを目的に発行しているものですか。

河盛 創刊したのは1946(昭和21)年2月、終戦間もない頃です。当時、広告業界の社会的地位は高いものではありませんでした。そんな中で、「正しい情報を共有して、同じ高みを目指そう」という思いから、第4代社長の吉田秀雄(当時は常務)が立ち上げたのが電通報です。

もちろん、電通自体をPRしていく側面もありますが、「公正中立な広告業界紙をつくろう」という理念が先にあってのことです。ただ、先にも述べたように、人を前に出しやすくなったとは考えています。

電通報創刊号
1946年発行の電通報創刊号(複製)

社内の好意的な反応は予想以上

――サイトオープンしてからの反響は。

小川 当初の想定以上に反響が大きいですね。特に、フェイスブックページの「いいね!」数は予想をはるかに上回る伸びを示しています(開設2週間後の11月4日現在で2万超)。これは、社員が広げてくれた側面が大きかったと思います。記事についても身近な社員が出ていると拡散してくれますし「あいつが出ているなら自分も」と反応を示してくれます。社員はもっと冷たいかな、と思っていたのですが意外でした(笑)。

河盛 記事ごとに反響が明確にわかるのもWebならではですね。海外拠点で働く社員が書くものなどは人気があります。

小川 広告賞で初めて知るような、ローカルCMなども受けますね。

――今後の課題やビジョンは。

河盛 少ない人員で担当していますので、いかに継続的にコンテンツを上げられるかは課題。社内の協力関係を構築できるかは重要です。

小川 社員を出していくという方針からすると、クライアントから仕事の引き合いが来るようなことがウェブ電通報の記事をもとに起こるようなことがあれば、ひとつの成果と言えるかも知れません。

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