地元愛をクリエーティブ力に変換――(電通中部支社 アート・ディレクター 土橋通仁)

 メディア企業も大手クライアントも東京に集中している日本の広告界。東京にいないと、クリエイターとしての仕事にスケールや広がりはないのでしょうか?
 コミュニティの密度が高いからこそ実現する企画、その地に暮らしているからこそ発想できるアイデアや表現…。さらにネットが登場したことで、日本全国どこにいても世界と向き合うことができるようになりました。「土地に縛られる」という物理的な制約もなくなってきた昨今の状況は、クリエイターの仕事にどのような影響を与えているのでしょうか。
 地域で働くクリエイターが感じている「限界」、そして「可能性」。6人のクリエイターが等身大で、「自分の仕事」の今を語ります。


電通中部支社 アート・ディレクター 土橋通仁

皆さんこんにちは。電通中部支社でアートディレクターをしています土橋(どばし)と申します。地域クリエーティブの良いところ。正直、東京で仕事をしたことがないので、つぶさに比べることはできませんが、「これは地元・中部だからこそ実現できたのかも」と思う事例を2つほどご紹介しながら、私の考えをお伝えできればと思います。

まず1つ目の事例は、「マクドナルドハウス建設のための募金プロジェクト」です。

「病院の広いベッドに1人寂しく眠る少年。半切れのページをめくると、優しく寄り添う母親が現れる」という仕掛け。ハウス建設前の辛さと、 建設後の救われた様子を描いた。ページをめくるというアクションを通して、「自らの手で親子を近づけ救う」 ということを新聞読者に疑似体験させた。

マクドナルドハウスとは、難病のため長期入院している子どもに付き添うご家族のための宿泊施設。そのハウスを名大病院(名古屋大学医学部附属病院)に建設する構想があったものの、必要な費用が2億円不足していました。そこで中部エリアの方々に向けて、新聞45段を使った「募金告知」の広告を制作しました。

文字にするとたった数行ですが、実現までの道のりはとても長いものでした。クリエーティブの面だけで言えば、まず募金を集めるための広告なので潤沢な予算がない。そこで今まですごくお世話になってきた地元クリエーターの方々に、カンプを手に、ご協力のお願いをしてまわりました。その数、実に20人。

皆さんが皆さん「困っている人を助けたい。地元の力にもなりたい」と即答してくださり、改めて私はこんなに素敵な人たちに日々囲まれているのかと実感し感動しました。新聞広告は出稿されるや大きな話題となりました。

マクドナルドハウスポスター

しかし、目標金額にはまだまだ届きません。そこで新聞広告に加え、ムービーやポスターも制作。

チャネルは増えても条件は同じで、いかに制作費を抑えながらクオリティの高いものに仕上げるか。さらに新たなクリエーターの皆さんからの多大な協力を受け、「それぞれが役割の垣根を越えて、できることは何でもする」をテーマにし、結果50人以上のスタッフの協力を経てどうにか実現できたのです。

私たちの制作物は、募金活動の一端ではありましたが、目標金額にほぼ到達し、この11月にはいよいよハウスが完成します。またうれしいおまけとして、20個以上の広告賞もいただくことができ、賞金総額300万円以上をすべて募金につなげることができました。

力を貸してくださった地元クリエーターの方々には何度お礼を言っても足りないほどの貴重な経験をさせていただきました。

≫次ページ 「2つ目の事例『コピーライターズクラブ名古屋(CCN)の年鑑』」

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地域クリエイション
地域クリエイション

【1人目】土橋通仁(電通中部支社 アート・ディレクター)


主な仕事はCCN年鑑2011&2012、トヨタホームホーム大臣、ドナルドマクドナルドハウスキャンペーン、ドラゴンズ仮面ライダーV3など。
受賞歴に、カンヌライオンズ金賞、ニューヨークADC賞銀賞、ロンドンD&AD賞銅賞、ADFEST銀賞&銅賞、Design for ASIA 銀賞、広告電通賞、朝日広告賞、日経広告賞など多数。ニューヨークADC会員。


【2人目】中川真仁(大広 大阪本社 コピーライター/CMプランナー)


TCC新人賞、ACCシルバー、カンヌライオンズ ブロンズ、アドフェスト ブロンズ、Yahoo! Japan Internet Creative Award 一般の部グランプリなど受賞多数。最近の仕事に、江崎グリコ ジャイアントカプリコ「カプりっこ」篇、カプリコクイーン決定戦!!!、Bitte「ビビビッテ」篇、AC「イイトコメガネ」篇など。

コピーライター/CMプランナーという肩書きですが、アイドルと番組を作ったり、ブランドと服を作ったり、ガチャガチャの中身を作ったりしています。あと、「ハコグミ」というコンビで漫才をしています。


【3人目】久冨和寿(CS西広 コピーライター/CMプランナー)


最近の主な仕事に、九州通信ネットワーク、城島高原パーク、パチンコプラザ、新天町商店街など。TCC新人賞、FCC賞、福岡広告協会賞、宣伝会議賞シルバーなど受賞多数。


【4人目】戸谷吉希(大広名古屋支社 コピーライター)


名古屋生まれ、2005年より現職。CCN賞、TCC新人賞、FCC最高賞、OCC最高新人賞、愛知県広告協会コピー賞など受賞多数。
WEB、チラシ、PRツール、イベント、ポスター、新聞、テレビCM、ラジオCM、インフォマーシャル、生ラジオなど幅広いメディアでコピーを手掛ける。




【5人目】眞鍋海里(BBDO J WEST コンテンツプランナー/インタラクティブプランナー)


モバイル広告賞グランプリ、Times Asia-Pacific Advertising Award GOLD、AD STARS CRYSTAL、WEBクリエーションアワード WEB人賞、広告電通賞、消費者のためになった広告コンクール、FCC賞、K−ADC賞、福岡広告協会賞など受賞多数。クリエイター・オブ・ザ・イヤー ノミネート。主な仕事に、JR九州「今日の西郷どーん」「DREAM九州新幹線」、ロッテ「Fre-1 GP」、レソラ天神「Tweet Rain Story」、「博多美女ん」など。



【6人目】河西智彦(博報堂関西支社 クリエイティブディレクター/CMプランナー/コピーライター)

主な仕事に、UHA味覚糖グミガーム テレビCM、スペースアド、ひらかたパークキャンペーン全般、トヨタヴェルファイア、岩手日報IWATTE、ヤンマー、大阪経済大学など。カンヌライオンズ金賞、スパイクスアジア金賞、アドフェスト銀賞、グッドデザイン大賞、朝日広告賞準グランプリ、ACCシルバー・ブロンズ多数、TCC新人賞、OCC最高賞、CCN賞、消費者のためになった広告コンクール金賞、東京インタラクティブアドアワードシルバーなど受賞多数。入社後7年間営業職を経験し、その後制作に職転して7年。営業時代のキャンペーン構築ノウハウと視点を活かし、テレビCM、グラフィック、キャンペーン構築、PR、プロモーションなど『効く』手口はすべて企画立案実行する。

地域クリエイション

【1人目】土橋通仁(電通中部支社 アート・ディレクター)


主な仕事はCCN年鑑2011&2012、トヨタホームホーム大臣、ドナルドマクドナルドハウスキャンペーン、ドラゴンズ仮面ライダーV3など。
受賞歴に、カンヌライオンズ金賞、ニューヨークADC賞銀賞、ロンドンD&AD賞銅賞、ADFEST銀賞&銅賞、Design for ASIA 銀賞、広告電通賞、朝日広告賞、日経広告賞など多数。ニューヨークADC会員。


【2人目】中川真仁(大広 大阪本社 コピーライター/CMプランナー)


TCC新人賞、ACCシルバー、カンヌライオンズ ブロンズ、アドフェスト ブロンズ、Yahoo! Japan Internet Creative Award 一般の部グランプリなど受賞多数。最近の仕事に、江崎グリコ ジャイアントカプリコ「カプりっこ」篇、カプリコクイーン決定戦!!!、Bitte「ビビビッテ」篇、AC「イイトコメガネ」篇など。

コピーライター/CMプランナーという肩書きですが、アイドルと番組を作ったり、ブランドと服を作ったり、ガチャガチャの中身を作ったりしています。あと、「ハコグミ」というコンビで漫才をしています。


【3人目】久冨和寿(CS西広 コピーライター/CMプランナー)


最近の主な仕事に、九州通信ネットワーク、城島高原パーク、パチンコプラザ、新天町商店街など。TCC新人賞、FCC賞、福岡広告協会賞、宣伝会議賞シルバーなど受賞多数。


【4人目】戸谷吉希(大広名古屋支社 コピーライター)


名古屋生まれ、2005年より現職。CCN賞、TCC新人賞、FCC最高賞、OCC最高新人賞、愛知県広告協会コピー賞など受賞多数。
WEB、チラシ、PRツール、イベント、ポスター、新聞、テレビCM、ラジオCM、インフォマーシャル、生ラジオなど幅広いメディアでコピーを手掛ける。




【5人目】眞鍋海里(BBDO J WEST コンテンツプランナー/インタラクティブプランナー)


モバイル広告賞グランプリ、Times Asia-Pacific Advertising Award GOLD、AD STARS CRYSTAL、WEBクリエーションアワード WEB人賞、広告電通賞、消費者のためになった広告コンクール、FCC賞、K−ADC賞、福岡広告協会賞など受賞多数。クリエイター・オブ・ザ・イヤー ノミネート。主な仕事に、JR九州「今日の西郷どーん」「DREAM九州新幹線」、ロッテ「Fre-1 GP」、レソラ天神「Tweet Rain Story」、「博多美女ん」など。



【6人目】河西智彦(博報堂関西支社 クリエイティブディレクター/CMプランナー/コピーライター)

主な仕事に、UHA味覚糖グミガーム テレビCM、スペースアド、ひらかたパークキャンペーン全般、トヨタヴェルファイア、岩手日報IWATTE、ヤンマー、大阪経済大学など。カンヌライオンズ金賞、スパイクスアジア金賞、アドフェスト銀賞、グッドデザイン大賞、朝日広告賞準グランプリ、ACCシルバー・ブロンズ多数、TCC新人賞、OCC最高賞、CCN賞、消費者のためになった広告コンクール金賞、東京インタラクティブアドアワードシルバーなど受賞多数。入社後7年間営業職を経験し、その後制作に職転して7年。営業時代のキャンペーン構築ノウハウと視点を活かし、テレビCM、グラフィック、キャンペーン構築、PR、プロモーションなど『効く』手口はすべて企画立案実行する。

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