東京五輪2020と観戦スタイルの未来予想図

なお、日本政府は来年にはフルHDの約4倍の画素数「4K」の放送を開始し、しかも、16年には「8K」の試験放送を始め、20年の東京五輪開催時までには8Kの本放送開始を目指しています。

8Kとは、4Kの更に4倍の画素数です。4Kでさえびっくりしているのに、8Kにもなると、ちょっと想像できないくらいの高精細な画面になるわけです。

ドン・キホーテのテレビ売り場。未来においては4K、8Kテレビも激安価格で売っていることでしょう。

さっき、20年の東京五輪は4Kテレビで観戦できるといいましたが、もしかすると、海外の人々も国内の人々も次の五輪を8Kの超々高精細のテレビに買い換えて観戦している可能性すらあるわけです。

いよいよ、リアル観光の強敵が現れるかも、なのです!

ところで、前回のロンドン五輪を特徴付けたのは、フルHDテレビの登場だけではありませんでした。

もう一つ、ソーシャルメディア(SNS)の存在感が圧倒的に増した大会でもありました。フェイスブックやツイッター等のSNSを使って、世界中の人々が五輪に主体的に参加し、観客同士、観客と選手との双方向の同時交流が生まれたのです。

前回の64年の東京五輪時はまったく存在していなかったSNSは、2008年の北京五輪時でさえ、それほどの話題にはなりませんでした。ロンドン五輪からSNSが大きく一般化したわけです。

昔は、五輪選手と世界各地のテレビの前の観客が双方向で同時交流するなんて、誰一人予想すらしていなかったことです。 

もしかしたら、我々は来る20年の五輪時に、4Kや8Kテレビの進化ぶりと画質の驚異的な美しさよりむしろ、想像を超えたSNSの進化ぶりのほうにこそ驚くのかも知れません。

そして、通信技術の劇的進化に伴う、超絶的に美しい8Kの動画配信と未来型SNSの融合が実現していたり、今はまだその概念すらないもっと別のハイテクな五輪の楽しみ方が普及していたりするのかも知れません。

また、ひょっとすると、20年の東京五輪時には、海外からの訪日観戦者の皆さんも、

「高画質テレビで居間観戦するから、わざわざ日本に、東京に行かなくてもいいや」

ではなく、

「またとない機会だ。ずっと行きたいと思っていた憧れの国、ニッポンに行ってみよう!そして、ウェアラブル(時計やめがねのように身体に身に付けられる)な情報端末を各競技会場に持ち込んで、リアルな観戦と、8Kの超精細の多言語の実況放送を同時に楽しみ、リアルタイムにSNSを通して世界中の人々と分かち合おう!」

と考えるようになっているのかも知れません。

こう考えてみると、8Kをはじめ、急速に進んでいく未来の先端技術はリアル観光のライバルではなく、むしろ、海外からの外国人観光客誘致の切り札になるのかもしれません。ヴァーチャルとリアルはライバル同士ではなく、むしろ相乗効果を生むパートナー同士になっているのかも知れないのです。

いずれにせよ、いろいろ、2020年の東京五輪の未来予想図を考えていると、今から興奮して眠れなくなります!

次回からは、7年後の五輪開催の大チャンスに向け、訪日外国人を集客するためのとっておきの“秘伝”をお伝えしてまいります。

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中村 好明(ジャパン インバウンド ソリューションズ 代表取締役社長)
中村 好明(ジャパン インバウンド ソリューションズ 代表取締役社長)

1963年生まれ。2000年、ドン・キホーテ入社。

広報、IR、マーケティング、CRM、新規事業担当を経て、2008年、社長室ゼネラルマネージャーとなり、訪日客誘致の責任者を兼ねる。

2013年7月、社内の訪日観光戦略部門をスピンアウトさせて、ジャパン インバウンド ソリューションズ(JIS)を設立し、その代表取締役社長に就任。あわせて、ドン・キホーテグループ全社の訪日客誘致プロジェクト責任者を務める。松蔭大学 観光メディア文化学部 客員教授。

中村 好明(ジャパン インバウンド ソリューションズ 代表取締役社長)

1963年生まれ。2000年、ドン・キホーテ入社。

広報、IR、マーケティング、CRM、新規事業担当を経て、2008年、社長室ゼネラルマネージャーとなり、訪日客誘致の責任者を兼ねる。

2013年7月、社内の訪日観光戦略部門をスピンアウトさせて、ジャパン インバウンド ソリューションズ(JIS)を設立し、その代表取締役社長に就任。あわせて、ドン・キホーテグループ全社の訪日客誘致プロジェクト責任者を務める。松蔭大学 観光メディア文化学部 客員教授。

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