【連載】「電信柱の陰から見てるタイプの企画術」――福里真一
1、はじめに
2、第1回「電信柱の陰からおずおずと語りはじめる」
3、第2回「幼稚園では藤棚の柱の陰だった」
特別対談「企画術は本当に役立つのか?」(1)
特別対談「企画術は本当に役立つのか?」(2) ー こちらの記事です。
特別対談「企画術は本当に役立つのか?」(3)
特別対談「企画に向いているタイプとは?」(1)
特別対談「企画に向いているタイプとは?」(2)
特別対談「企画に向いているタイプとは?」(3)
やりたいことが得意なこととは限らない
髙﨑 福里さんは、他の人の仕事とか気にしていますか。
福里 気にしてます。
髙﨑 僕、結構、福里さんの仕事を気にしていて。福里さんはひきだしが多彩だなあ、とよく思ってます。
福里 いや、ひきだしがあるんじゃなくて、なんでもやるだけです。
髙﨑 「へぇ、福里さん、次そこに来るんだ」とか思いながら見てます。「福里さんが今、ここにきているってことは……ここにマグロの大群がいるぞ!船を出せ!」みたいな話も社内でしてますよ(笑)。
福里 僕には、いま実現をさせたい表現が自分の中にある、とかそういうことはなくて。
いろんなクライアントがいて、いろんなことが求められていて、それに全部応えてやっていくぞと言う感じなんです。
本にも書いたんですけど、自分には才能がないと30歳の時に決めてしまったということがあって、しかも電通にいた当時、仕事がない期間が本当に長かったので、来た仕事は全部成立させたいという思いが強いんです。
髙﨑 たとえば、「九州新幹線」みたいな話題になったCMを見た時、それに対して何か考えたりしますか?
福里 九州新幹線のCMを見て何か考えたかな…。いや、九州新幹線っぽくと思ってつくったのがあったんですけどね、思い出せないな。ちょっと待ってくださいね。
髙﨑: 「っぽく」って、どのへんですか(笑)。イベント性みたいなこと?ドキュメントみたいなところですかね。
福里 あっ!いま思い出しましたけど、世界中でウホウホが広がるっていうENEOSエネゴリくんのCMでした。今思うと、広がるっていうところだけですけど、共通しているの…。「これは、九州新幹線だ!」って自分では思っていたんですけど、誰にも気づかれませんでしたね。
髙﨑 僕は、あれはたぶんつくれないと思うんですよね。あの頃、そういうドキュメント的なものが一瞬ブームっぽくなっていたけれど、設計と検証でつくるタイプの僕にはできないな、と。本当に実現するのか、うまくいくのかわからない…みたいな企画は、僕は心が耐えられない。一度は考えるんですけど結局作らなかった。
福里 得意なことを早めに見つけたほうがうまくいくことは間違いないですよね。やりたいことと得意なことが違うことって、ぜんぜんありえますからね。
髙﨑 ありますね。
(次回に続く)
【連載】「電信柱の陰から見てるタイプの企画術」――福里真一
1、はじめに
2、第1回「電信柱の陰からおずおずと語りはじめる」
3、第2回「幼稚園では藤棚の柱の陰だった」
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特別対談「企画に向いているタイプとは?」(1)
特別対談「企画に向いているタイプとは?」(2)
特別対談「企画に向いているタイプとは?」(3)
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1968年鎌倉生まれ。一橋大学社会学部卒業。92年電通入社。01年よりワンスカイ所属。いままでに1000本以上のテレビCMを企画・制作している。主な仕事に、吉本総出演で話題になったジョージア「明日があるさ」、樹木希林らの富士フイルム「フジカラーのお店」、トミー・リー・ジョーンズ主演によるサントリーBOSS「宇宙人ジョーンズ」、トヨタ自動車「こども店長」「ReBORN 信長と秀吉」「TOYOTOWN」、ENEOS「エネゴリくん」、東洋水産「マルちゃん正麺」など。その暗い性格からは想像がつかない、親しみのわくCMを、数多くつくりだしている。