【インタビュー】地域密着こそが新聞の強み――味の素・髙橋健三郎氏

タイミング、メッセージ、地域性の掛け合わせでさらに効果を発揮する

たとえば冒頭で紹介した号外のアミノバイタルの広告も、決して単体で発揮された成果ではありません。昨年のロンドン五輪の時期からずっと、「スポーツ。水。アミノ酸。」というキャッチフレーズで、新聞やその他のメディアを含めた広告を展開してきていた下地があったからこその反響だと捉えています。

生活者のものの見方をそこまで把握して、単発のコンテンツを考えるのではなく、メッセージを発信していくプラットフォームを構築する必要がある。それが今、我々広告主に問われています。その中で当社では、「味の素のファンづくり」という最終的な目標に対して、各メディアにどういう役割を担っていただくかを常に意識しています。

ある1人の人の中に、価値ある存在として企業像が描かれ、また商品の価値も感じてもらい、それらが結びついて確立したときにファンづくりという目標が達成される。その際、企業の価値を正しく理解していただくには、新聞広告の役割は大きいと考えています。

最初に挙げたタイミング、メッセージ、地域性の掛け合わせで、新聞広告はもっと効果を発揮できます。当然そこには、報道記事と共に読まれるという新聞の特性があります。新聞広告を単体で捉えずに、記事との関係、また他メディアとの関係を踏まえたメディアとしてのマーケティングを、新聞社には期待したい。

地方紙なら地域密着の特性を生かして、たとえば生活面からムーブメントを起こすこともできるでしょう。全国紙・中央紙なら、地方紙と両方を購読している地方の読者に併読の理由を聞くことで、期待される機能がより明確になります。読者における自分たちの位置付けを把握すれば、新聞広告を起点に他メディアの機能を付加して、広く深い情報接触を実現することもできるはずです。

また、広告会社には、新聞を含めたコミュニケーションを総合的に提案していただきたい。今後ますます、メディア特性と生活者接点を深く理解した上でのデザイン力が求められるでしょう。新聞ならではの機能は、そのデザインに大いに生きてくると思います。(談)

髙橋健三郎(味の素 理事 広告部長)
1981年味の素入社。冷凍食品部、大阪支店業務用冷凍食品課長、味の素冷凍食品タイランド社長などを経て、2010年7月から現職。慶應義塾大学法学部卒。日本アドバタイザーズ協会電波委員長も務める。

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「新聞広告の日」特別号
「新聞広告の日」特別号

広告メディアとしての新聞の価値は十分に認識されているのか――。

宣伝会議は10月の「新聞週間」、同月20日の「新聞広告の日」に合わせ、メディアニュートラル時代の新聞のあり方にスポットを当てた新聞「アドバタイムズ」を発行しました。掲載記事をWeb上に順次掲載していきます。

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