テーマかデータかデザインか?

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展望台の入場料金を建物の高さで割って算出した「世界一高い展望台」

制作過程で一番面白いのは、やはりこのデザイン会議で、編集会議段階ではぼんやりとしていたイメージが、徳間氏の手によって、はっきりと姿をみせたり、時にはまったく違った姿に変容していきます。

例えば、32回の「世界一高い展望台」は、編集会議の段階では、単純に旅行者が訪問できる世界の高層建築のイラストを、背の高い順番に並べるものを想定していました。ただデザイン会議で実際にラフにしてみると、単なる右肩下がりの単純なビジュアルとなり、いまいち面白みに欠けることに気づきました。

高さを表す尺度として、ゴジラやエヴァンゲリオンなどの架空のオブジェクトを実在の高層建築の合間に入れることにしたらどうか、という意見も出たのですが、著作権などの問題もあり、それも簡単ではありません。

参加者で資料を見直していると、各高層建築の展望台への入場料金も記載されていたことから、同じ高さでも料金の高さで並べたらどうかという意見が出ました。さらに、建物の標高と料金という2つの高さを見比べているうちに、高さ当たりの料金という尺度もあることに気がつきました。

そこで入場料金を展望台の高さで割って、料金/メートルを出してみると、最も高いのは高さわずか55メートルのピサの斜塔で、意外なことに料金が高いと言われている東京スカイツリーよりも横浜マリンタワーの方が高いことなどがわかりました。

このように、編集会議で想定したイメージがそのまま最終的なグラフィックになることは稀で、多くの場合、新たなアイデアが付加されたり、予想外の方向に発展していきます。また、編集会議で想定した通りにまとまる回より、今回ご紹介したケースのように想定と大きく変化した物の方が、人気が高いケースが多いように思われます。


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三橋 竜二(トリップアドバイザー シニアブランドマネージャー )
三橋 竜二(トリップアドバイザー シニアブランドマネージャー )

新聞記者、スクーバダイビングの専門誌編集者などを経て、フリーのトラベルライターに。アジアや太平洋の島々を中心に旅行雑誌やガイドブックなどで執筆。PR会社勤務後、2009年よりトリップアドバイザーの広報を担当。

三橋 竜二(トリップアドバイザー シニアブランドマネージャー )

新聞記者、スクーバダイビングの専門誌編集者などを経て、フリーのトラベルライターに。アジアや太平洋の島々を中心に旅行雑誌やガイドブックなどで執筆。PR会社勤務後、2009年よりトリップアドバイザーの広報を担当。

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