ギョギョギョ!世界で通用する、さかなクンの“ギョ”ミュニケーション――私の広告観(2)

お魚から広がる人の輪、世界観の輪

ありがたいことに、お魚を中心とした活動の場は、どんどん広がっていき、2002年4月にスタートした朝日小学生新聞での連載「おしえて!さかなクン」も、今年で11年目。まとめた情報も、描いたイラスト数も膨大になり、これを元に念願の書籍『おしえて!さかなクン』(現在第5巻目を編集中)を出版することもできました。

魚が好きになる前から、絵を描くことが大好きだったというさかなクン。絵は、言葉の壁を超えてたくさんの人と魚の魅力を共有することができる、重要なコミュニケーションツールだ。

イラストもテレビ番組もラジオ番組も、自分にとって、お魚の魅力を表現するための大事な方法です。

それは、千葉県館山市の「ふるさと親善大使」や、農林水産省 の「お魚大使」、JICAの「なんとかしなきゃ!プロジェクトメンバー」といった、自治体・国・国際的機関とのお仕事も同じ。

お魚は、見る・描く・調べるなどさまざまな方法で学べますし、フィッシングやダイビングを通じて楽しんだり、深く考えたりすることもできます。

それを個人レベルではなく、たくさんの方と協力しながら取り組んで、学んだり、考えたりすることができるのが、こうした活動のすばらしいところです。

また最近では、8月末にオンエアされたNTT西日本のテレビCM「ギョギョギョ!」編にも出演させていただきました。山間部の小学校を舞台に、最新技術を活用することで、遠く離れた海にいるお魚にタッチできるという未来の世界を表現したもので、さかなクンは学校の先生役です。

また、東日本大震災で甚大な被害を受けた久慈市の「もぐらんぴあ まちなか水族館」とは10年来のお付き合いがあり、復興支援でお魚や水槽をお届けしたことがきっかけで、NHKの朝ドラ『あまちゃん』にも出演させていただきました。自分は研究者という立場でもあるのですが、研究室にこもりきりでいたら、きっとこんなにいろいろな機会はいただけなかっただろうなと思います。

世界各地の撮影や取材に連れて行っていただく機会もずいぶん増えました。現地の子どもたちにお魚について伝える時、言葉で伝えるのはやはり難しい。でもひとたび絵を描くと、子どもたちは大盛り上がり。目をキラキラ輝かせて、楽しんでくれるのです。国境や言葉の壁を越えて、お魚の魅力を共有できるのが、イラストが持っている力なんだなと実感します。

お魚の面白さや楽しさは、独り占めしたらもったいない!もちろん一人でぼーっとお魚を眺めているのも、心が癒される大好きな時間なのですが、できればこの面白さは、一人でも多くの方と共有したい。今ギョ(今後)も、もっとたくさんのお魚を観察し、もっとたくさんの絵を描いて、皆さんにお魚の魅力を伝えていきたいと思っています。

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