おサイフケータイが使えないiPhone乗換ユーザーの救世主 販促NOW<MOBILE APPLICATION>(12)

ソニー 非接触ICカードリーダー/ライター「PaSoRi RC-S390」

ケータイ・スマートフォンジャーナリストの石川温氏が注目するアプリを紹介。ここでは、『販促会議』2013年12月号の記事を掲載します。(雑誌掲載当時の情報をもとに書かれた記事です)

石川 温(いしかわ・つつむ/ケータイ・スマートフォンジャーナリスト)
1999年に日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社。『日経トレンディ』編集記者を経て03年に独立後、ケータイ・スマホ業界を中心に執筆活動を行う。メルマガ『スマホ業界新聞』(ニコニコ動画)を配信中。

NTTドコモがついにiPhoneの取り扱いを始めた。「ドコモからiPhoneが出るのを長年、待ち続けた」と首を長くしていた人たちがこぞってガラケーやAndroidから機種変更している。iPhone 5sのシャンパンゴールドという人気色はなかなか手に入らないようだが、在庫薄もだいぶ改善されてきたようだ。

一方で、ガラケーやAndroidからiPhoneに乗り換えることで、いままで使っていた機能やサービスが使えなくなることがある。中でもビジネスマンなどが特に困るのが「おサイフケータイ」だろう。

電車に乗るために「モバイルSuica」、コンビニで買い物するために「楽天Edy」や「nanaco」「WAON」を愛用している人も多いと思う。iPhoneに乗り換えられてうれしい半面、こうしたサービスが使えなくなるのはかなり厄介だ。

ソニー 非接触ICカードリーダー/ライター「PaSoRi RC-S390」。Bluetooth通信でFeliCaカードの残高確認などが行える。カードホルダと併用すれば持ち歩きも可能。

そんな中、ソニーから登場したのが、iPhoneやiPadから楽天Edyにオンライン上でチャージすることができる「PaSoRi(パソリ) RC-S390」だ。

これにより、カードタイプの楽天Edyにアプリ経由でチャージができるだけでなく、Suica、nanaco、WAONの残高・利用履歴確認をiPhoneやiPadからアプリで行えるようになる。


(左)アプリ「パソリユーティリティ」をインストールすれば、楽天Edy、 Suica、nanaco、WAONの利用履歴などが確認できる。(右)楽天Edyでは、アプリ「楽天Edy」を使ってチャージもできて便利だ。

「PaSoRi RC-S390」の本体はカードサイズとなっており、5.5ミリの厚さがある。専用のカードホルダに入れておくと、カードと一体で持ち歩けるようになる。PaSoRiとカードを一体にしておき、カバンや財布の中に入れておけば、コンビニなどで支払いが簡単にできるようになる。

PaSoRiとiPhone/iPadはごく微量の電力で通信を行っており、楽天Edyであれば残高がなくなれば手動でアプリ経由でチャージできる。また、オートチャージ設定をしておけば、自動的にチャージするといったことも可能だ。

実際に使ってみたが、Androidスマホの手軽さには負けるが、iPhoneを使いつつ、楽天Edyも手軽にチャージできるメリットは大きいと感じた。

これまで、おサイフケータイ向けに会員サービスを提供してきた会社とすれば、おサイフケータイに対応しないiPhoneの普及は会員数の減少につながる。まさに、楽天Edyとしては、iPhoneの普及は危機的状況に直面するわけで、iPhone対応のPaSoRiが救世主になることだろう。

このようにiPhone対応のPaSoRiが登場し、さらにアプリの存在により、FeliCaカードの可能性はまだ広がる余地がありそうだ。

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