各国リーグとの提携の狙いとは
共に成長していくために、JリーグがASEAN各国でノウハウ提供のワークショップやサッカークリニックなどをしていこうと考えたのですが、その際に、欧州各国リーグ同様、「現在のアジアのマーケットから、いくら稼げるか」のみを考えていると思われてしまうと、誤解が生じ、活動しづらくなる可能性がありました。
そこで考えたのが各国リーグとの提携。提携内容は、「Jリーグが持っているノウハウを無償で提供し、その国のサッカー発展に貢献します」というシンプルなものです。
この提携にあたって各国で調印式を行い、現地メディアを通じて大きく報じてもらうことによって、Jリーグの活動はすべて、その国のサッカーを強くするためにやっていることなのだと認知してもらい、一気に活動しやすくするのが狙いでした。
それまで、Jリーグは海外リーグと提携したことはなかったのですが、アジア戦略室発足1カ月後の2013年2月に、タイのプレミアリーグと提携したのを皮切りに、ベトナム、ミャンマー、カンボジア、シンガポールとASEAN各国リーグとの提携を拡大していきました。
このリーグ間提携により、各国リーグの会長やクラブオーナーなどが、どの財閥の会長なのかなど、ビジネス面での情報を急速に得られるようになりました。このASEAN各国の強力なビジネスネットワークを、Jリーグ、クラブのスポンサー企業やホームタウンの自治体に活用してもらえば、企業がJリーグ・クラブを継続的に支援してくれる理由になるはず。
こうしてリーグ間提携を進めていくと、各Jクラブによるクラブ間提携も広がりを見せ、2013年11月現在、セレッソ大阪、ヴィッセル神戸、ジュビロ磐田、コンサドーレ札幌、清水エスパルス、横浜F・マリノスが、タイやベトナム、ミャンマーのクラブと提携をして、ASEANでの活動をしていくことになりました。
こうして枠組みを作ると同時に、次なる3つのアクションプラン実行へと、スピード感を持って動き始めました。 (つづく)