よく考えれば、理由は実は簡単です。供給者の目線ではなく、旅人目線・外客目線に立てば答えが見えてきます。こちらの都合ではなく、相手の都合で発想するのです。
今のわが国のインバウンドは黎明期です。「楽しかった。また来たい!」という満足感を生み、リピーターを作ることこそが一番大事です。今は日本のブランディングの基礎を作る時期なのです。内輪もめしている場合じゃないわけです。互いにパスを出し合う必要があります。
たとえば、サッカーのチームメンバーが、味方にボールを一切渡さず、自分だけのドリブルで得点ゲットを考えていたら、絶対に負けます。残念ながら、いまのインバウンド業界は、まだそんな段階の人を多く見受けます。これでは、誰もハッピーにはなれません。
日本を巨大な商店街として考えてみてはいかがでしょうか。たった一軒の商店しかない遠方の商店街に、あなたはわざわざ買い物に行きますか?いやですよね。ワクワクする商店街は、多種多様な店がひしめきあっていて、多様な選択肢の中から自分の好みで買い物や飲み食いができる商店街なのではないでしょうか。
たとえば、先日超有名な大型家電量販店の幹部の方に聞いたのですが、「夜10時を過ぎると、うちは閉店するので、その後の時間に訪日客から、もっと買い物したいけど、どこに行けばいい?」と聞かれたら、ドン・キホーテさんがいいよ、って教えてますよ!」と言ってもらい、びっくりしました。
もちろん、我がドンキのスタッフ(優秀者に限るのですが・・・)も、自店に品揃えが無かった電化製品は、「家電専門店の◎■△さんにあると思いますよ!」と他店を薦めています。探していた物が手に入らなかったという不満足は、訪日リピーターを減らしてしまいます。逆に、「日本商店街」に大満足してくれた客は、今度は自店に来てくれる可能性が広がります。この連携が訪日客の満足を生み、日本の良い噂と満足感を生み、次につながるのです。
ライバルの利益を考えて行動を起こそう!
では、具体的にはどうすればいいのでしょうか。さあ、みなさん。勇気いや蛮勇を奮って、ライバルの企業、ライバルの観光地を訪ねて、訪日観光客向けの共同販促の企画提案(まずは、期間限定、エリア限定の企画)を持ちかけてみるのです。いきなり、唐突に訪問するには、さすがに気が引けるようなら、まずは、国の出先機関や業界組合などの事務局に相談してみるのも手かもしれません。
同業他社からではなく、異業種の会社との連携から話を進めてもいいでしょう。私のささやかな実体験からいうと、実際に行動してみると、これが案外びっくりするくらいうまくいったりするものです。
そして意外と、相手のほうも面白がって共同販促の話がどんどんまとまるかもしれません。案ずるより産むがやすし、ともいいます。
具体的に動けば、具体的な結果が見えてくると思います。その提案時のコツは、自分の利益ばかりを考えず、相手(国内市場でのライバル)の利益をまず考えて発想し、提案することです!