事業構想策定の流れは何にでも応用可能
その中でも筆者が特に優れた流用可能な考え方であると感じたのは、事業構想策定の流れである。清成先生はそのプロセスを「事業機会」「問題把握」「アイディア」「評価と共創」「構想」という5段階を定義し、それぞれを詳しく解説している。
筆者はそのプロセスすなわち事業機会に合わせ、問題を限定し(見極め)把握し、解決するためのアイディアを創発し、アイディアを評価して共創しながら構想するプロセスはそのままマーケティング施策を策定するプロセス当てはめることができると考えている。
さらに本書ではその構想をマネージメントするためのプロセスや運営するための組織に関しても書かれている。さらにその実践例として事業構想家を10人の事例を紹介している。こちらも実に応用可能な示唆に富む内容になっているので是非参考にされてはいかがであろう。
「できない理由をあげるより、できる方法を考える」
しかし、筆者が本書で一番共感するのは清成先生と事業構想大学院大学を立ち上げた東英弥理事長の対談の中身である。事業構想大学院大学の構想そのものに至った経緯などを上げているのであそのコンセプトやプロセスはるがその中で出てくる「できない理由をあげるより、できる方法を考える」という言葉にいたく共感したのである。
実は筆者も以前よりモットーとして「出来ない理由より出来る方法を」を挙げて、これをチームに浸透させ各種施策を実現してきたという経緯がある。筆者の経験上も、不確実な変化の大きい環境の中で各種施策を実現させるにはこの発想が不可欠であるということは確信に近い形で信じているのである。
今回本書を読み込むにつれ、なぜ自分が事業構想大学院大学という事業に参画したかということをあらためて思い知らされることになった。
最後に本書の活用に関してのヒントをひとつ。本書は理論的にすぐれており、内容を熟読することにより多くの示唆が獲れると思うのであるが、難しい各種プロセスが豊富に図式化され掲載されている。
まずは、図式化されたプロセスをピックアップして考え、解らないところの解説のつもりで本文を読むとより理解しやすいのではないかと思う。またこのような方法で理解するまでの時間を短縮可能ではないかと思うのでぜひ試されてみてはいかがだろうか。