【前回までのお話】
本格的なアジア展開をスタートしたJリーグ。重視したのは欧州サッカーとの差別化でした。そこでとった戦略は、「アジアのサッカーマーケットを大きくし、それと同時にJリーグも成長していく」というもの。Jリーグや各Jチームがアジア各国のリーグ・チームと提携し、Jリーグのノウハウを無料で提供することにしたのです。「現在のアジアから今すぐ稼ぐ」のではなく、まずは将来に向けた土壌づくりから。こうした枠組みを作ると同時に、山下さんは次なる3つのアクションプラン実行へと動き始めます。
>連載1回目 「20周年を迎えた、Jリーグ アジア戦略の仕事とは?」
>連載2回目 「アジアへの第一歩!Jリーグ、カンボジア&タイへの旅」
>連載3回目 「Jリーグ アジア進出プロジェクト本格始動!各国政財界の大物に会う」
>連載4回目 「Jリーグのノウハウ、タダで提供します!」
3つのアクションプラン
ASEAN各国リーグとの提携を進め、活動の下地を作りながら、次にJリーグは3つのアクションプランを立て、それらを同時並行かつスピード感を持って実行していくことにしました。そのプランとは、下記の3つです。
1.露出拡大
2.現地での活動
3.ASEANのスター選手の獲得
露出拡大は主にテレビですが、WEB、新聞、SNSなど、あらゆる媒体での露出拡大を意味します。日本のプロリーグとして国内のみで露出していたら、全国民が観たとしてもその数は最大1億2760万人です。一方、ASEAN諸国の総人口は6億人で、さらにその数は年々増え続けています。
人口減少・少子高齢化が進む日本だけをマーケットとしているより、ASEANでの露出も増やしていく。そうすることで、JリーグやJクラブにスポンサードしてくださっている企業の、ユニフォームや試合看板を通じた露出は最大7億3000万人と6倍近くに拡大する可能性があります。
露出が増えれば増えるほど、当然、スポンサー企業にお返しできる効果は大きくなります。そして効果が大きくなれば、将来的なスポンサー料の増額や、新規スポンサーの獲得にもつながります。
ASEANでの露出が増えることで、これまでの国内およびホームタウンにおける露出の対価としてスポンサードしてくださっていた企業以外にも、ASEANでのマーケティングのためにスポンサーになってくださる企業が出てくる可能性があり、新たなスポンサー価値の創造にもなります。以上の観点から、アジア、特にASEANでの露出拡大に注力していくことにしました。
≫次ページ 『ASEANの主要テレビ局で放送スタート』に続く