Facebook Studio Awards 2014開催記念 福田敏也×川村真司特別対談

新しい時代のコミュニケーションを創るクリエイティブ

米・Facebook社は2012年から「Facebook Studio Awards」を主催。今年も11月から作品の応募受付が開始となった(締め切りは2014年1月末)。
「Facebook Studio Awards」とはFacebook上で実施されたキャンペーンの中で、世界的に見ても優れた創造性をもつ作品に贈られる賞だ。審査は世界のトップクリエイターで構成される「Facebook Creative Council」が担当する。
今回で3回目となる同アワードは、これまでに日本からの応募もあったものの、まだ受賞には至っていない。「Facebook Creative Council」のメンバーで、日本人で唯一「Facebook Studio Awards」の審査員を務める福田敏也氏、さらに世界を舞台に活躍するクリエイターの川村真司氏に、過去の同アワードの受賞作品を見ながら、世界のコミュニケーション、クリエイティブの潮流を聞いた。


福田敏也氏(トリプルセブン・インタラクティブ)
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川村真司氏(PARTY)

「つながっていることを前提に企画する

――福田さんは2013年から「Facebook Studio Awards」の審査に参加していらっしゃいます。

福田:審査会で話されていることは、非常に“大人”な議論。あまり、“こまい”話はでてこなくて、大きな流れを見ながら審査が進んでいくという印象です。

川村:2012年の「Blue」(最優秀作品1点に贈られる)が、アメリカン・エクスプレスの「Small Business Saturday 2011」、2013年がオレオの「Oreo Daily Twist」キャンペーンと、これまでを振り返っても、定番を抑えている感じがしますね。

福田:必ずしもFacebookエクスクルーシブな企画だけでなく、Facebookを中心としたソーシャルメディアを活用した事例を広く評価するアワードなんです。

――お二人は国内のみならず、世界のクリエイティブの潮流をご覧になっていらっしゃいます。

福田:最近の流れを見ていると、ソーシャルメディアの活用はじめ、あらゆることがいよいよ「実戦モード」に入ってきたな、という感じがしますね。Facebookのようなプラットフォームに対しても、以前のように漫然とバイラルを期待する姿勢から変わり、企業コミュニケーション活動のどの部分に位置付けるのかという議論が、日本の企業の中でも始まっています。

川村:数年前まではソーシャルメディアで「つながれること」自体が、皆が描いた素敵な未来の実現で、それだけでニュースになりました。でも、今やそれは僕たちの日常になっている。すでに皆が「つながっている」状況で、企業そしてクリエイターは何ができるのか、考えていかないといけないですよね。皆が「つながっている」ことを前提に、次にどんな価値を生み出せるかがコミュニケーションの質に関わってくるのだと思います。

メディア×クリエイティブの掛け合わせ

福田敏也氏(トリプルセブン・インタラクティブ)

福田:Facebookは広告も使い、従来のような短期的キャンペーンに使用することもできなくはない。一方で1年、2年という長期スパンでのブランドコミュニケーションにも活用できる。後者は、これまでの短期的な広告活動とは目標設定、コミュニケーションの設計が違うので、企画に際してはクリエイターも頭の使い方が違ってくるな、と思います。

川村:長期スパンでの活用は、これからという印象を受けますね。Facebookの場合、「公式アカウントを開設しました」とか、単に“器”をつくるだけではだめで、そこに載せるコンテンツの設計まで長期的かつ戦略的に実現する必要があると思いますが、まだそこまでできている会社は、少ない印象です。

――事例を参考にする際のポイントはありますか。

川村:一度、その企画の要素を還元してみるとよいと思います。オレオの例で言えば、表層だけを見るのではなく、毎日いろんなコンテンツを出していき、即座にリアクトする。企画としては、非常にシンプルですよね。では、うちの会社でこれをやろうとするなら・・・と考えていくと、例えば「そんなにスピーディに決済できるだろか?」とか、疑問がわいてきて、そこから、この課題を解決するプロセス、人材配置ってどんな体制になるだろうと道筋が見えてくる。ちょっと、これはクリエイターの視点ですが。

福田:実は、オレオを「Blue」に選ぶに際しては、審査員の間で議論もあったんです。この企画って、昔からある雑誌のシリーズ広告の手法と同じ。そのシリーズ広告のデイリー版にすぎないとのではないか、という意見もあって・・・。一方で毎日になること、「デイリーな会話になる」ことの意味を考えるべきだという議論もあり、最終的に「Blue」に選ばれたんです。

川村:ソーシャルがあったからこそ、「圧縮」ができたという意味で進化だと思います。考えてみれば、僕たちクリエイターのやっていることって、毎回まったく新しいことを企画しているわけではなくて、その時にあるメディアのクリエイティブの掛け合わせで考えている。新しいことをしているようだけれど、メディアの手数が格段に増えているとだけという気がしています。そういう意味でオレオの事例は、単なる奇をてらった賑やかしの企画でなく、メディア×クリエイティブの掛け合わせという意味でも、次のスタンダードになるようなもの。こういう作品が選ばれているのは、いいなと思いますね。

次ページ 「“キャラ”に合った振る舞い方」に続く



「Facebook Studio Awards 2014」概要
www.facebook-studio.com/awards

カテゴリ、参加料はなし。Facebookを軸に展開したキャンペーンを受け付ける。リーチの範囲、ターゲティングの精度などを踏まえつつ、ビジネス目的の達成に貢献したか否かも踏まえて審査がなされる。
 募集期間:2013年1月31日締切
 応募対象作品:2013年2月1日から2014年1月31日までに実施された企画
 発表:2014年4月

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