4つの領域を埋めていく?デザインエンジニアの育て方
廣田:社内で「デザインエンジニア」をどのように育てているんですか。
田川:基本はOJTです。僕らの仕事の領域は大きくは4つに別れます。エンジニア⇔デザイン、ソフトウェア⇔ハードウェアの2軸で分類できる、4つの領域で、それぞれのスペシャリストは山ほどいるんです。
例えば、ソフトウェアのデザインだと「UIデザイナー」とか。takramにも最初は、たいていこの4つの領域のどこかに軸足がある人たちが入ってきます。で、たいていの場合は、ある領域を押さえてもらったあとに、そこに近接する領域に踏み出してもらい、徐々に4つの領域全てを網羅したスキルを身に着けてもらう。この4つの領域の境界線は、それぞれ摩擦係数が違って、なので隣接する領域で踏み出しやすい方の力を身に着けてもらうようにしています。
廣田:踏み出しやすさが違うんですね。
田川:そうなんです。ソフトウェアデザインとソフトウェアのエンジニアリングはそれほど摩擦係数が高くない。一方でソフトウェアのデザインから、ハードウェアのエンジニアリングにいきなり踏み込むのは無理です。
廣田:非常に面白いですね。広告業界でもデジタルとクリエイティブの境界線で同じような“浸透圧問題”があって、デジタルの素養のある人がコピーライターになったりするのは、わりとできるのですが、ずっとマス広告の企画を考えてきた人たちに突然「デジタルのクリエイティブをやれ」と言っても、すぐには難しかったりします。
【「電通 廣田さんの対談」連載バックナンバー】
■takram design engineeringの田川欣哉さんに聞きに行く
・「自分で全部やってみたい人の仕事術」(前編)
・「自分で全部やってみたい人の仕事術」(後編)
■Sumallyの山本憲資さんに聞きに行く
・「リスクテイクする覚悟がある人の仕事術(前編)
・「リスクテイクする覚悟がある人の仕事術(後編)
■内沼晋太郎さんに聞きに行く
・「マージナルな場に飛び出す人の仕事術」(前編)
・「マージナルな場に飛び出す人の仕事術」(後編)※3月更新予定