以前ラジオのリスナーの方から「明け方のラジオで私に語りかけてくれる森さんが好きです」と言われたことがあります。「私に語りかけてくれる」というところに、じ~んときました。
私の声がラジオの電波に乗り、夜明け前のひっそりとした時間に、リスナーの皆さんに届く。たった一人でラジオを聴きながら夜明け前の時間を過ごしていたリスナーにとって、私の声は、自分にだけ届いたものと感じられたのでしょう。そう思うと胸が熱くなりました。
ラジオは一旦選局すると、一日中どころか一年中変えずに、その局とお付き合いされているリスナーも多いものです。繰り返し聴いてくださるので「この間の森さんは風邪気味だった。もう治ったのか心配だ」と言われたこともあります。ラジオの声は、まるで目の前で話しているかのように届き、親近感がわくものなのです。
通販番組での売り上げの実績が作れず悩んでいた時、私に「ラジオ通販の心得」を説いてくださった方はこう話していました。
「どんな方がどんな時に聴いてらっしゃるのか、それを常に考えれば、商品選定は間違えないよ。商品が高いか安いかは二の次でいいから。そうすれば、あなたのファンができるし、その人たちが次にどんな商品を選べばよいか、教えてくださるようにもなるよ」。
私はそれらの言葉に感銘を受け、というより、当時はわらをもすがる思いで、素直に受け止めました。夜中にラジオを聴き、受注センターにも足を運び、買ってくださる方々の声を聞くようにしたのです。