なぜそんなことに至ったのかは、追々このコラムでご説明していければと思いますが、とにかく、PARTYのニューヨーク支社を立ち上げ、妻子を連れて引っ越す、という、10年前どころか1年前の自分が想像していなかったことになってしまいました。
この原稿を書いている今この瞬間も「何でこんなことになっちまったんだ…」という気持ちでいっぱいです。
僭越ながら、PARTYという会社は、日本での立ち上げ当初からありがたいことに大きな話題にしていただき、その後も様々な新しいアウトプットを世の中に送り出して、いろんな広告賞をいただく光栄に預かり、とかく派手でキラキラしたスター集団的に見えるのだと思います(本当はいろんなことがあるのですが)。
しかし、ここニューヨークでは、当たり前?ですが、全くそのようなことはありません。同じ広告業界の人々の間では、ある程度知ってもらえていますが、クライアント企業はPARTYなんて知らない人たちばかりですし、ちょっと業界の外に出れば、私たちは何でもないただの東洋人。裸一貫としか言いようの無い状況なのです。
ベンチャー企業もいいところで、いきなりニューヨーク行って会社やります、なんて無鉄砲もいいところなのです。例えは悪いのですが、いきなり軽装で富士山に登ろうとして顰蹙を買う若者のような無鉄砲感があります。
だから、コラムの名前も「滞在記」とかではなく「突撃記」です。
いろいろと恵まれてはいるものの、突然ニューヨークという戦場のど真ん中に放り込まれた飽きっぽい男が、どのようにしてニューヨークで仕事をしていくのか、日々勃発する予想の遥か斜め上を行く出来事をどのようにサバイブしているのか、そもそもサバイブできているのか。どういう人と出会って、何を発見し、何を失い、何をつくるのか。このコラムではそんな中で生まれる体験について書いて、読者の皆さんにお楽しみいただき、あわよくば参考にしていただくことができればなんて思っています。
それでは全12回、隔週ではありますが、生温かい目でご覧いただければ幸いです。よろしくお願い致します。