『爪と目』作家・藤野可織さん「文字としての姿かたち、音感も大切にタイトルをつける」――私の広告観(4)

「作品を通じて主張・提言したいことがあるわけではない。 目の前で起こっていることを、ただ単に記録している、という意識で小説を書いているんです」(藤野さん)。

本は、書く時も、読む時も孤独です。私は孤独であることを良しとするタイプなのですが、今はSNSの普及なども背景に、孤独な時間がどんどん減っているという話を聞きます。私も引きこもり生活が寂しくなると、誰かと話がしたくてツイッターに手を延ばすことがあります(笑)。それでも、孤独な時間、孤独な感覚が完全になくなるということはないですよね。

誰かと一緒にいても、孤独を感じることだってあります。そういう孤独に寄り添ってくれるのが、ほかのコンテンツにはない、本の良さなのではないかと思っています。たとえ今読んでいなくても、本を読んできたという経験は、あらゆる局面で自分を助けてくれます。

私自身、本に救われながら生きてきたと感じているんです。映画や漫画、美術館など、本以外にも面白いコンテンツは世の中にたくさんありますが、そんな他にない魅力を持つ「本」という存在に、もっと頼ってみてほしいですね。

「宣伝会議」2014年1月号紙面より抜粋

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