そして、今回、まさにアクリフーズで起こっている現象は、以下のような事例である。
- 犯人からの連絡がなく、製品が汚染されている場合に要求される判断
- 製品は実際に汚染されていたのか?そうであればどうやって汚染されたのか?
- 製品が汚染・変更されていた場合、その行為は意図的に実行されたのか?
- 意図的な行為だとしたら、どこでいかに実行されたのか?(例:製造過程か、搬送中か、販売店舗の店頭か、消費者が購入した後か?)
- 消費者によって製品が汚染されたのか、第三者によるものか、あるいは従業員の関与か?
- 例外的な事件なのか、それとも一連の事件のごく一部なのか?
- 似たような事件のマスコミ報道により模倣された事件の可能性はないか?
- 調査方法の選定、調査結果の確認作業の終了後、消費者保護対策をどのようにするのか?
今回の事件が、異臭の苦情→原因究明→農薬の検出→工場内で使用されていない高濃度の農薬検出→原材料残存農薬の混入否定→第三者による意図的な悪意の混入の可能性の経路をたどり、現在に至っているが、ここまでの結論に達するまでの時間がかかりすぎている。
特に、子どもを含めた家族全員が食卓で食する製品を多数取り扱う企業では、偶然な汚染はもちろん、悪意の異物混入の可能性については、一刻も早く情報公開と警察への協力要請が不可欠となってくる。遅れをとればそれだけ市場に展開された製品を回収するのに時間がかかり、うっかり口にするなどして嘔吐や腹痛などを起こす二次的被害も拡大する。6日現在、マルハニチロHDは冷凍食品約111万パックを4日までに回収したと発表したが、自主回収対象640万パックのうちの約17%にとどまっている。
≫次ページ 「危機管理の伝説「米国ペプシ注射針混入事件」の対処は日本でも役立つか?」に続く
白井 邦芳(危機管理コンサルタント/社会情報大学院大学 教授)
白井 邦芳(危機管理コンサルタント/社会情報大学院大学 教授)
ゼウス・コンサルティング代表取締役社長(現職)。1981年、早稲田大学教育学部を卒業後、AIU保険会社に入社。数度の米国研修・滞在を経て、企業不祥事、役員訴訟、異物混入、情報漏えい、テロ等の危機管理コンサルティング、災害対策、事業継続支援に多数関わる。2003年AIGリスクコンサルティング首席コンサルタント、2008年AIGコーポレートソリューションズ常務執行役員。AIGグループのBCPオフィサー及びRapid Response Team(緊急事態対応チーム)の危機管理担当役員を経て現在に至る。これまでに手がけた事例は2700件以上にのぼる。文部科学省 独立行政法人科学技術振興機構 「安全安心」研究開発領域追跡評価委員(社会心理学及びリスクマネジメント分野主査:2011年)。事業構想大学院大学客員教授(2017年-2018年)。日本広報学会会員、一般社団法人GBL研究所会員、日本法科学技術学会会員、経営戦略研究所講師。
白井 邦芳(危機管理コンサルタント/社会情報大学院大学 教授)
ゼウス・コンサルティング代表取締役社長(現職)。1981年、早稲田大学教育学部を卒業後、AIU保険会社に入社。数度の米国研修・滞在を経て、企業不祥事、役員訴訟、異物混入、情報漏えい、テロ等の危機管理コンサルティング、災害対策、事業継続支援に多数関わる。2003年AIGリスクコンサルティング首席コンサルタント、2008年AIGコーポレートソリューションズ常務執行役員。AIGグループのBCPオフィサー及びRapid Response Team(緊急事態対応チーム)の危機管理担当役員を経て現在に至る。これまでに手がけた事例は2700件以上にのぼる。文部科学省 独立行政法人科学技術振興機構 「安全安心」研究開発領域追跡評価委員(社会心理学及びリスクマネジメント分野主査:2011年)。事業構想大学院大学客員教授(2017年-2018年)。日本広報学会会員、一般社団法人GBL研究所会員、日本法科学技術学会会員、経営戦略研究所講師。
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