境治さんに聞きに行く!「広告とコンテンツ融合の可能性」(後編)

コピーライター黄金期の広告と共通点

境:僕、谷口さんの仕事に触発されて、自分のブログで試していることがあって。以前ある程度、記事を書いた後でタイトルをつけていたのですが最近、まずタイトルと写真ビジュアルを決め、サムネイルをつくってから文章を書くようにしているんです。

「大阪の虎ガラのオバチャンと227分デートしてみた」も、タイトルとオバチャンの写真がセットになって、シェアされていった。シェアされる上では、ビジュアルが大事だなと気づいたんです。


境治さんのブログより。

谷口:写真とテキストでコンテンツを作る。私は「フォト紙芝居」と呼んでいます。

境:僕のブログはビジュアルの選定は、アートディレクター上田豪氏にお願いしているのですが、谷口さん的なコンテンツは、従来のアートディレクターとコピーライターの力をネットでも発揮できるスタイルのように思っています。

境:谷口さんがつくる広告企画を見ていて一昔前の広告と共通するものを感じています。たとえば、70年代の仲畑貴志さんのサントリー「角瓶」の広告とか糸井重里さんのジーンズの広告とか商品とは関係しているのだけど、商品を褒めるだけの広告ではないし、読み物として単体で見てもすごく面白いんです。

この頃は、世の中で広告というものの存在が認められ始めたころで、何か新しいことをやりたい人たちが流れ込んできた時代。糸井さんの広告なんかを見て触発され、僕もコピーライターになったのですが、それは広告をコンテンツとして受け止めていたということなんです。でも今は、広告もコンテンツであるということが忘れられている気がします。

谷口:この頃は、ゆとりがあったんですね。

境:今ではマス広告では薄れてしまった、コンテンツとして広告をつくる文化がネットで生まれているのは面白いなと思います。

次ページ 『CM制作にお金がかけられなくなった時代』に続く

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谷口 マサト[LINE 広告事業部 チーフプロデューサー]
谷口 マサト[LINE 広告事業部 チーフプロデューサー]

72年滋賀生まれ。LINE株式会社 広告事業部 チーフプロデューサー。
横浜国立大学の建築学科を卒業後、建築業界には進まず、空手修行のため渡米、主にヌンチャクを学ぶ。空手のテキサス州大会と柔術の大会で優勝した後、帰国するもヌンチャクでは食えず、96年にいち早くネット業界に入る。
制作会社を経て外資系のIT系コンサル会社へ。当時日本で数少ないIA(情報設計)の専門家として、大手コマースサイトのリニューアルを多数担当後、ライブドアへ。現在はLINE株式会社にて、企業とのタイアップ広告企画を担当する。

一方で、運営する個人サイト「chakuwiki/借力」は累計4億2千万PVでベストブログ・オブ・イヤー賞(エンタメ部門)など受賞多数。サイトから発展した『バカ日本地図』などの書籍を宝島社などから6冊出版している。

Blog: http://blog.chakuriki.net/
Facebook: https://www.facebook.com/masato.taniguchi.5
Twitter: http://twitter.com/chakuriki

本コラムは連載【「広告なのにシェアされる」コンテンツ・マーケティング入門】の続編となります。

谷口 マサト[LINE 広告事業部 チーフプロデューサー]

72年滋賀生まれ。LINE株式会社 広告事業部 チーフプロデューサー。
横浜国立大学の建築学科を卒業後、建築業界には進まず、空手修行のため渡米、主にヌンチャクを学ぶ。空手のテキサス州大会と柔術の大会で優勝した後、帰国するもヌンチャクでは食えず、96年にいち早くネット業界に入る。
制作会社を経て外資系のIT系コンサル会社へ。当時日本で数少ないIA(情報設計)の専門家として、大手コマースサイトのリニューアルを多数担当後、ライブドアへ。現在はLINE株式会社にて、企業とのタイアップ広告企画を担当する。

一方で、運営する個人サイト「chakuwiki/借力」は累計4億2千万PVでベストブログ・オブ・イヤー賞(エンタメ部門)など受賞多数。サイトから発展した『バカ日本地図』などの書籍を宝島社などから6冊出版している。

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