コピーライター黄金期の広告と共通点
境:僕、谷口さんの仕事に触発されて、自分のブログで試していることがあって。以前ある程度、記事を書いた後でタイトルをつけていたのですが最近、まずタイトルと写真ビジュアルを決め、サムネイルをつくってから文章を書くようにしているんです。
「大阪の虎ガラのオバチャンと227分デートしてみた」も、タイトルとオバチャンの写真がセットになって、シェアされていった。シェアされる上では、ビジュアルが大事だなと気づいたんです。
谷口:写真とテキストでコンテンツを作る。私は「フォト紙芝居」と呼んでいます。
境:僕のブログはビジュアルの選定は、アートディレクター上田豪氏にお願いしているのですが、谷口さん的なコンテンツは、従来のアートディレクターとコピーライターの力をネットでも発揮できるスタイルのように思っています。
境:谷口さんがつくる広告企画を見ていて一昔前の広告と共通するものを感じています。たとえば、70年代の仲畑貴志さんのサントリー「角瓶」の広告とか糸井重里さんのジーンズの広告とか商品とは関係しているのだけど、商品を褒めるだけの広告ではないし、読み物として単体で見てもすごく面白いんです。
この頃は、世の中で広告というものの存在が認められ始めたころで、何か新しいことをやりたい人たちが流れ込んできた時代。糸井さんの広告なんかを見て触発され、僕もコピーライターになったのですが、それは広告をコンテンツとして受け止めていたということなんです。でも今は、広告もコンテンツであるということが忘れられている気がします。
谷口:この頃は、ゆとりがあったんですね。
境:今ではマス広告では薄れてしまった、コンテンツとして広告をつくる文化がネットで生まれているのは面白いなと思います。