「もう1人の社長であれ」警察広報官主役の小説『64』の作者・横山秀夫さんが語る広報の矜持

広報はもう一人の社長

では、どんな人が広報になるべきなのか、との問いに、横山さんは「自分を裏切らない人」と答えた。

「その組織体の思惑に完全に合致していなかったとしても、自分を裏切らない言葉を言える。それ以外に本当の信頼を生む方法はないと思います」。

仮に、担当者自身が良いと思えない商品を広報しなければならない場合はどうするのか。「だめな商品です、などと言う必要はないでしょうが、自信を持って勧められるものとそうでないものとの違いを、何らかの形で表現してほしい。日頃から半身を組織の外に置く習慣をつけておけば可能なこと」。

もちろん、そうしていくためには組織体のバックアップが欠かせないとも指摘する。「広報は本来社長がやるべきこと。それを移譲するのだから、それなりの権限や専門性、強い認識があってしかるべきです。愚直でも不器用でも、自分を裏切らない人を選び、育て、『もう一人の社長』として押し出す。それが理想の広報体制ではないでしょうか」。


横山秀夫(よこやま・ひでお)
1957年東京生まれ。国際商科大学(現・東京国際大学)卒業後、上毛新聞社に入社。12年間の記者生活を経てフリーライターとなり、98年に作家デビュー。

1 2 3
この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

この記事を読んだ方におススメの記事

    タイアップ