クロスカンパニー「earth photo&diary」
ケータイ・スマートフォンジャーナリストの石川温氏が注目するアプリを紹介。ここでは、『販促会議』2014年2月号の記事を掲載します。(雑誌掲載当時の情報をもとに書かれた記事です)
石川 温(いしかわ・つつむ/ケータイ・スマートフォンジャーナリスト)
1999年に日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社。『日経トレンディ』編集記者を経て03年に独立後、ケータイ・スマホ業界を中心に執筆活動を行う。メルマガ『スマホ業界新聞』(ニコニコ動画)を配信中。
ある日、自分のツイッターをチェックしていたら、やたらとふざけた写真に、まじめなキャッチフレーズがついているつぶやきが増えていた。
写真の内容と、キャッチフレーズとのズレっぷりがとても楽しい。吹き出してしまうものもあったほどだ。よく見るとキャッチフレーズはどこかで聞き慣れたものが多かった。
キャッチフレーズはどれもまじめで考えさせられるものが多い。実際にテレビCMで流されているものもあった。そのキャッチフレーズとユーザーが組み合わせた写真の違和感がなんともたまらない。
今年、大ヒットしたドラマの主人公や脇役の画像を合成していたり、テレビでやたらと裸になる芸人の写真に「あした、なに着て生きていく?」というコピーを組み合わせたりと、ユーザーたちの創意工夫が本当におかしかった。
冒頭のツイッター上に流れていた写真はすべて、アパレルブランド「アース ミュージック&エコロジー」の公式アプリから発信されたものだった。
ユーザーが自分で撮影した写真やスマホの中に保存してある画像に、アース ミュージック&エコロジーが用意したコピーを重ね合わせられるというものだ。作った画像はカレンダー形式に保存し、一覧表示できる。
これまでも、スマホ向けの写真アプリは比較的ヒットしやすい手堅いアプリと言えた。
しかし、その多くは撮影した被写体を加工、装飾したり、さまざまなモノを合成したりして楽しみ、SNSで共有するのが一般的だ。
画像装飾の多くは面白さを狙ったもので、一発ギャグ的なものが多い。つまり、これまでのアプリは被写体の加工に重きが置かれていたが、このアプリは、被写体はそのままで、キャッチフレーズとのマッチングを楽しむという新たな使い方がウケたのだ。
しかし、このアプリを作っているのはアパレルブランドであり、本来であれば、ユーザーがおしゃれをして、その様子を撮影。かっこいいキャッチフレーズと重ね合わせて、毎日の着回しをカレンダー形式で楽しむというのが狙いだったのではないか。
実際にSNSに投稿されているのを見るたびに、「これは制作者の意図を大きく外れたものではないか」と部外者ながら心配したくなってしまった。
だが最近、アプリを起動してみたところ、合成できるコピーが増えたようだ。
どうやらアース ミュージック&エコロジーとしても、今回のSNSの盛り上がりっぷりに応じているようだ。
ちなみに、ネットで上がっている画像はここでは著作権などもあり引用できないので、「earthpho アプリ 芸能人 まとめ」といったキーワードで検索して見つけ出して欲しい。
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