2月3日に2014年度TCC賞の作品応募が始まる。2013年より審査委員長の任期を1年とすることとし、2年目となる今年は谷山雅計さんが務める。審査方針は、「そのコピーがない世界とそのコピーがある世界。何が変わりますか?」。
これは谷山さんが日ごろ、自分自身がコピーを書き、その善し悪しを判断する際の基準でもある。
「これは、師匠である大貫卓也さんの影響も大きいかもしれません。存在する意味のない言葉を嫌い、そのコピーがあることで人々や世の中にどれだけの変化をもたらすのか、ということをいつも突きつけられていたので」。
技術やレトリック以上に、「コピーが何を変えたか」を評価したい、と谷山さんは考えている。
「ただし、方針で掲げている“世界”というのは、世の中全般を広く指しているわけではなく、仕事の規模を問うているわけでもありません。例えば自分の家の近所や周囲の数十人であっても、そこにコピーや広告が存在することで、何かしらの変化がもたらされたのであれば、それも間違いなく“世界を変えている”ことにほかならない。そこに言葉のなしとげた足跡を見つけられるならば、どんなに小さな仕事でも応援したいと思います」。
とはいえ、この審査方針はあくまでも参考であり、各審査員に必ずしも従ってもらうつもりはない。
「なぜなら、“いいコピーとは?”という考え方や解釈は人それぞれ。一つの判断基準で選ぶのは難しいはず。一次二次審査員合わせて132人の審査員がいますが、この方針を頭に入れた上で、一人ひとりの基準で選んでもらえば、結果として2014年のコピー像が見えてくるのではないでしょうか」。
13年度は審査委員長の方針で、TCC新人賞が過去最少の10名となった。
「新人賞にスポットを当て、その価値を高める点では意義のある試みでしたが、一つだけ疑問が残りました。本来、新人賞の人数は審査委員長が決めるべきものなのかということです。新人賞=TCCへの入会資格。そう考えると、新人賞の人数は、会のあり方にも根本的に関わることなのです」。
審査委員長を引き受けてすぐ、谷山さんは過去50年以上にわたる応募者と受賞者の割合を自ら調べた。その結果、応募者に対する受賞者の割合は基本的に5~6%台で推移していることがわかった。そのデータをもとにTCCの全会員に向けてアンケートを実施。
集計結果を受けて、現在本年度の新人賞は、2012年以前の基準と同程度を目安に審査を行うべく調整を進めている。 また、本年度は13年度に開始した「審査員推薦」ワイルドカードは継続しつつ、審査委員長賞を復活させる。
今年、「コピー年鑑」の編集長は玉山貴康さんが務める。同時に玉山さんは副審査委員長を、また谷山さんも編集委員を務める。それにより、審査と年鑑を一気通貫させ、「2014年のコピー」をしっかりと選んでいきたいと考えている。
本日、2014年TCC賞エントリーサイトがオープンする。応募についての詳細は、応募要項にて確認の上、エントリーサイトより応募のこと。
本年度TCC賞
一般部門二次・新人部門審査委員 36名
赤松隆一郎、秋山晶、東秀紀、安藤隆、石川英嗣、磯島拓矢、一倉宏、岩田純平、太田恵美、岡本欣也、小野田隆雄、門田陽、神谷幸之助、児島令子、権八成裕、斉藤賢司、佐倉 康彦、佐々木宏、澤本嘉光、髙崎卓馬、谷山雅計、玉山貴康、照井晶博、東畑幸多、中治信博、仲畑貴志、中村禎、中山佐知子、福里真一、福部 明浩、藤本宗将、三井明子、山崎隆明、山本高史、吉岡虎太郎、渡辺潤平
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