不正解のアイデアにも、意味がある。
「みんな真面目で疲れる…」。SWAT中盤、僕と木村の間に初めてのグチがこぼれた。僕らだけではない。実はミーティングの空気も少し変わっていたのだ。さすがに1つのブリーフだけに向き合い、企画し続けているせいか、全体的に脳の疲労感がにじみ出ていた。雰囲気も、企画の中身も。
そこで、僕らはオリエン無視の企画を出そうと決意した。無謀とも言える「ダジャレ企画!」(もちろん英語の)。採用なんて考えてない。Crazy Japaneseと笑わせるためだけの1案だ。この “ ずらし ” 、僕は日頃から意識してやることがある。博報堂に入社して、自分の周囲には、開成やら東大やらエリートばかり。頭の良さじゃ勝てっこない、でも企画の偏差値を下げれば武器(違い)になると。
結果、アメリカ人からも、カナダ人からも、ベルギー人からも、フランス人からも笑いを取れた。企画はもちろん不採用だったが、悔い無し。翌日は空気も変わり、みんな企画が弾けていた気がするから。そしてなによりも、仲良くなれたから。(そのダジャレポスターは、各国チームが記念撮影を行うほどの大人気でした…)
さいごに
と、とりとめとなく書いてしまいましたが、これらは決して「いいアイデアを生む方法」ではありません。ただ、アイデアの良し悪しの感覚を肌に染み付かせていくことは、間違いなく自分の企画を磨くことにつながると思います。ヒットを打った後に、その時のフォームを思い出せば、何かつかめるものもあるでしょうし。さて、コラムを書き終えたので、企画に戻ります。チームの皆さん、明日僕が出す企画は「完璧」です。