インクジェット用の特殊紙を探して冬のNYをさまよう

3人でどうにかしなくてはならない

先日アメリカを襲った大寒波は日本でもニュースになっていたかと思います。「あらゆるものが凍りついた!」みたいな写真もバズになっていました。

ニューヨークも、摂氏マイナス16度くらいまで気温が落ち、ちょっと外に出るだけでも風が刺すように痛い日々が続きました。

たぶん今年は格別に寒いのですが、ニューヨークは寒いのです。緯度で言うと八戸あたりなので、当然寒い。

12月のある日、私はその寒い夜のニューヨークの街を絶望的な気分でさまよっていました。なぜかというと、「インクジェット用の特殊紙が全然見つからない」からです。

PARTY NYCは、始まったばかりの会社ですし、今増やそうとはしていますが主要メンバーは3名です。東京のPARTYと同じく、ときとして広告代理店的な役割を担うこともあれば、制作会社的に実際にものをつくることもあります。

たとえば、今のところ専任のデザイナーがいないので、企画書をつくるときは、3人で手分けして絵をつくります。私も昔はエディトリアルのデザイン等をやっていましたし、3人とも絵づくりの経験は結構あるので、根性でどうにかしています。他にやらなきゃいけないこともたくさんあるので、デザイナーは探し中なのですが。

プログラムを書く人は私しかいないので、スマホアプリのプロトタイプから細かいウェブサイトまで、自分でつくることも多いです。プログラマーも探し中です。

英語の見積もりも、請求書も、スケジュールも、営業も、現時点では3人でどうにかしている部分がかなりある。

担当者がいないから、今のところ3人でいろんなことをやっていくしかないのです。
もっと人手が必要なのですが、正直なところ、この3人じゃなかったらこんな無茶はできていないだろうとも思います。普通に考えると無理があるよなーと思います。
冒頭の「インクジェット用の特殊紙が全然見つからない」の話に戻ります。

要するに、必要なものを買いに行くような、普通アルバイトの方とかがやりそうな仕事も、自分らでやるしかないのです。これはニューヨークであるかどうかは関係なく、小さい会社のようなものを始めたことのある方はご経験があるのではないでしょうか。

しかしここはニューヨークです。私は、とある進行中の案件でとあるプロダクトのサンプルをつくって撮影しなくてはならなくなり、「インクジェット用の特殊紙」をすぐに調達する必要がありました。

「Amazonで買えばいいじゃん」というのは至極もっともな話なのですが、この仕事が突然クライアントからリクエストされた話で、1日以内に完了しなくてはならない、といった条件だった場合、Amazonで発注したのでは間に合いません(逆にAmazonが無かったら今頃どうなってたんだろう、みたいなこともあります)。

次ページ(2/3) 「土地勘は立派な能力だった」へ続く

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清水 幹太(PARTY チーフ・テクノロジー・オフィサー)
清水 幹太(PARTY チーフ・テクノロジー・オフィサー)

東京大学法学部在学中(のち中退)からプログラマー・デザイナーとして活動。2006年にイメージソースに入社以降は、テクニカル・ディレクターとしてウェブサイトから映像まで、様々なフィールドに渡るコンテンツ企画・制作に携わる。2011年、クリエイティブラボ「PARTY」設立に参加。クリエイティブ・ディレクター、チーフ・テクノロジー・オフィサーとして、インタラクティブを中心にジャンルを問わず、高い技術力を背景にした様々なクリエイティブに関わっている。2013年9月よりPARTY NYCに赴任。カンヌ・クリエイティビティ・フェスティバル、アジア・パシフィック広告祭等、国内外での受賞多数。

清水 幹太(PARTY チーフ・テクノロジー・オフィサー)

東京大学法学部在学中(のち中退)からプログラマー・デザイナーとして活動。2006年にイメージソースに入社以降は、テクニカル・ディレクターとしてウェブサイトから映像まで、様々なフィールドに渡るコンテンツ企画・制作に携わる。2011年、クリエイティブラボ「PARTY」設立に参加。クリエイティブ・ディレクター、チーフ・テクノロジー・オフィサーとして、インタラクティブを中心にジャンルを問わず、高い技術力を背景にした様々なクリエイティブに関わっている。2013年9月よりPARTY NYCに赴任。カンヌ・クリエイティビティ・フェスティバル、アジア・パシフィック広告祭等、国内外での受賞多数。

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