知らない土地は手っ取り早く成長を実感できる
しかし、これは実は結構楽しいことでもあるのです。このときの場合は、たまたま見つけた「STAPLES」というオフィス事務用品チェーンの店舗でインクジェット用の特殊紙を発見しました。
非常に古いですが、「アメリカ横断ウルトラクイズ」の勝ち抜け時のBGMが頭の中に流れ「やったあああああああ!」などと小躍りしてしまいました。
その後、「STAPLES」はアメリカでは非常に有名なチェーンで、そういったものが必要な場合はSTAPLESに行くのがわりと常識であることが判明するのですが、しかしこの経験を経た私は、その後このような買い物が必要になった場合はSTAPLESに直行するようになりました。
人間、「自分の成長が実感できる」などということはそうそうありません。世の中には、すぐに習得できるものはそんなに多くはありませんし、そういった実感は、いろいろなことができるようになればなるほど少なくなっていくような気がします。
たとえば子どもは1年で恐ろしい吸収力ですごい量の学習をしていきます。これは、それと同じことなのだと思います。知らない国の知らない街で新しい仕事をするということは、いきなり何も知らない子どもの状態に戻されてしまったようなもので、一日ごとに自分がアップデートされていくことが実感できます。
もちろんこういったアルバイト的な仕事だけではありません。非常に「手軽に」広い領域で成長体験を得ることができるのです。
今一緒に会社を運営している川村が今この記事が掲載されているアドタイで「海外で5年働いたら、日本では20年経っても得られなかった経験を得ました」というようなことを書いていたのを思い出します。
今この記事を書いている時点で私はまだニューヨークに移って4カ月ですが、「2年分くらいの経験をした」実感があったりします。非常に手軽です。毎日毎日絶望するようなことばかりでもありますが。
「下積み時代なんて要らないんだよ」なんていう人もいます。しかし、下積み状態というのは考えようによっては、「学ぶべきことがあり余っている状態」であるとも言えます。だからそれはそれで、悩みも多いですが結構楽しい状態なのではないかと思います。
そんなわけで、幸運にも下積み状態を再度体験する機会を得て、「楽しいなー」なんて言っていた私に、とんでもなく無茶な仕事が舞い込んできました。「楽しい」なんて言っていられるのは最初のうちだけでした。ごめんなさい。もはや、「楽しい」とか言っていられません。
一体何が起こってしまうのか。
つづく。