「明日、ママがいない」番組スポンサーがCMをやめずに済んだ別シナリオ

スポンサーは自社の姿勢を自分たちで確認してみたか?

実は日本企業も、CSRや人事・研修制度、スポンサーになっているイベントなどで、社会問題の解決やさまざまな人たちを支援する取り組みをしてきています。

番組スポンサーになるような大手企業は、商品やサービスを通じて直接的な価値を伝えると同時に、その価値観を反映した制度や施策を社内外のあちこちで展開しているものです。探せばテーマに関連するものも何か、いやおそらく、いろいろ出てくる可能性があります。

問題は、意外とそのことを社員自身が知らないことです。

企業として真面目に取り組んできた活動、コツコツ続けてきたプログラムが仮にあったとしたら、こんな時に説明できないのは、とても残念です。

つまり、もしあるならば、自社の価値観や考え方を反映した取り組みの実績をもとに、CMをやめずに、はっきりと自分たちのスタンスを伝える、というシナリオが考えられるのではないか、ということです。

少なくとも、番組内容への抗議の声を理由に、あるいは他社の結論に合わせた形で、続ける/やめるといった判断だと受けとめられてしまうよりは、多くの人に自社のメッセージを届けられる可能性が高いと思うのです。

いずれにしても、スポンサーがこうした問題に際して、まずは敏感に状況を捉え、自社の取組みも踏まえてそのスタンスをきちんと説明できるようにし、誠実に対応する、ということがこれまで以上に重要になってきていることだけは確かでしょう。



鶴野充茂(つるの・みつしげ)
ビーンスター代表取締役
国連機関、ソニーなどでPRを経験し独立。公益社団法人 日本パブリックリレーションズ協会理事。中小企業から国会まで幅広くコミュニケーションの仕組み作りに取り組む。著書は最新刊「なぜ経営者は『嘘つき』と言われてしまうのか?PRのプロが教える社長の伝え方・話し方」(日経BP社)ほか、25万部超のベストセラー「頭のいい説明すぐできるコツ」など多数。「広報会議」に「ウェブリスク24時」、日経ビジネスオンラインに「金曜動画ショー」連載中。公式サイトはこちら

1 2 3
この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

この記事を読んだ方におススメの記事

    タイアップ