極限状態の現場を経て、海外での初MVが完成
そんな中不自由な英語でずっと指示を出したり議論したりし続けるという、笑いが止まらなくなるようなシビアな環境でした。現場でも、ここには書けないようなことがたくさんありました。とにかく、他の案件は会社の他のスタッフにお任せして、この現場をどうにかすることにすべてを注ぎました。
そこには当然、日本人である私と欧米人である他の2人との間のスタイルの違いや文化の違いがありました(「どんなに時間が無くなっていても、寝るときは寝る」とか、「ハッキリ物事を伝えないと伝わらない」とか)。実際、ケンカみたいになることもありました。
出会って数カ月しか経っていない生まれも育ちも経歴も違う3人が24時間極限状態を共にしながら、何かをつくらなくてはならないのです。
結果、予定期間内にすべてを撮り終えることができず、飛行機を翌日に変更して撮影合宿を延長。それでも撮れなかったものがあり、残りをニューヨークで撮影することに。最終的に氷点下10度のニューヨークの路上で凍えながら撮影する羽目になりました。
すべてのカットを撮り終えたとき、少年漫画ばりに死闘を経てすっかり友情を構築してしまった2人の仲間たちに聞いてみました。「みんないつもこんな感じで仕事してるの?」と。2人は口を揃えて言いました。「いやいやいや。こんな無茶苦茶な撮影初めてに決まってるじゃん」。忘れようにも一生忘れられない無茶な撮影合宿。最初は「アメリカの撮影ってこういうもんなのか?」と思っていましたが、どうやら私の海外初撮影現場は、アメリカでも極めて特殊な類の撮影だったようです。
そして編集を経て(この編集についても、驚くことがいくつかあったのでまた別の機会に書きます)、ようやくでき上がったのがこのビデオです。せっかくですので、いろいろと現場を想像しながらご覧くださいませ。BItTorrentと連携して、キャラクターの3Dデータの配布も行っています。コンテも付いているので、実際に自分でもMVをつくることができたりします。併せてお楽しみくださいませ。
Cut Copy「We Are Explorers」MV