アドビのDPS モニター企業を大募集
スマートフォンやタブレット端末の普及が進み、消費者はいち早くアプリや電子書籍などのデジタルコンテンツを活用する生活に溶け込んできた。それはビジネスシーンにもおよび、カタログからセールスツールなどをデジタル化する企業も増えている。そうした流れを加速するのがアドビの「Digital Publishing Suite(DPS)」だ。
今回、同社ではDPSによるアプリ作成がもたらす新しい販促やマーケティングの世界を企業に体験してもらおうと「DPSモニタープロジェクト」をスタートした。
BtoC、BtoB、どちらでも導入効果が大きいDPS
多くのビジネスパーソンにはPDF作成・活用ソフトのAcrobat として、また出版やデザイン業界ではPhotoshop、Illustrator、InDesignなど欠かせないプロ仕様のソフトを幅広く手掛けるアドビ。今回モニタープロジェクトを実施するDPSは、デジタルカタログの製作・アプリ化、さらにそこから得られたアクセス状況の解析までできるトータルソリューションサービスだ。
DPSはすでに大手出版社の雑誌のデジタル版などで採用が進むが、最近は一般企業の採用も進んでいる。その背景にはスマートフォンやタブレットを使うエンドユーザーの増加と、営業担当にタブレットを持たせる企業が増加していることがある。
同社 マーケティング本部の河合美和氏は「エンドユーザー向け(BtoC)ツールの品質を高めたい、あるいは企業に対する(BtoB)セールスツールの品質を高め、そのうえでコストも下げたいというニーズが高まり、DPSを導入してアプリを制作する企業が増えた」と話す。
InDesignで制作したカタログならDPSで容易にアプリ化できることに加え、動画などを活用してより顧客の興味関心を引くような表現ができること、デジタル化によって印刷コストが大幅に削減でき、情報修正が必要となっても、データを書き換えるだけで一斉にリニューアルが完了できることへの評価が高い。さらに、どのコンテンツがよく見られているかが分かる「解析機能」も、PDCAサイクルを回し、常にアプリの改善を図ることができると好評だ。
解析による次なるアプリ制作、営業の質も大きく向上
では、実際に消費者向けと企業向けにおけるDPSの具体的な活用シーンについて、企業の事例を交えながら見てみよう。
消費者向けでDPSを活用したのがキヤノンマーケティングジャパンだ。
同社は、カメラの交換レンズ現行ラインアップすべてを網羅したアプリ「EF LENS HANDBOOK」を配信している。これまで販売店に足を運ばなければ入手できなかったカタログをアプリにすることで、ユーザーはいつでも好きな時にダウンロードして見ることができる。
アプリでは豊富な写真作例から撮影したい写真のシチュエーションに応じたレンズを選択できる。また絞りやシャッタースピードといった機能についても、画面にタッチして変化させることで写り方にどのような違いがあるかを、実際にカメラを操作しているような感覚で理解できるようになっている。こうしたリッチな表現はアプリならではだ。
その後、第2弾としてマクロの世界の面白さを伝える「It’s a“ Macro”World」というアプリを制作した。「DPSにより、顧客がどの部分に興味があるのかを把握してPDCAサイクルを回し、改良したり新アプリの制作につなげたりできる。また、アプリにすることで、ダウンロードした人に情報をプッシュ通知できるので、適切なタイミングで情報にアクセスしてもらうこともできる」とアドビシステムズの岩本崇氏は分析できることのメリットを話す。
CASE1 全レンズを網羅、小規模販売店支援にも
レンズ交換が可能なデジタルカメラの市場拡大でユーザーがレンズを選ぶ機会が増えたため、全レンズを網羅したカタログをデジタル化して2013 年2月に公開。どのようにすれば撮りたい写真を撮ることができるか、体感しながら選べるようになり、ハイアマチュアから興味を持ち始めた人まで、幅広く活用されている。また、全レンズ展示できない販売店にタブレットを設置して販促ツールとして活用する事例も出てきた。