工学部機械工学科卒業という経歴を持ち、現在は電通で「コミュニケーション・プランナー」として、これまでにない新しい企業コミュニケーションの形を模索する廣田周作さんもその一人。2013年7月には著書『SHARED VISION―相手を大切にすることからはじめるコミュニケーション』を刊行するなど、企業と消費者がフラットにつながる今の時代のコミュニケーションのあり方を自身の実践をもとに発信しています。
この連載では毎回、廣田さんが広告業界に限らず、そんな新しい働き方を見つけ、実践する方に話を聞きに行きます。
対談企画「仕事の創り方を変えよう!」
numabooks代表
内沼晋太郎氏
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電通 プラットフォーム・ビジネス局 開発部 コミュニケーション・プランナー
廣田周作氏(『SHARED VISION―相手を大切にすることからはじめるコミュニケーション』著者)
【前回記事】「内沼晋太郎さんに聞きに行く 「マージナルな場に飛び出す人の仕事術」(前編)」はこちら
内沼:出版業界にいる大人たちは「本の仕事がしたい」という若い人に対し「出版は斜陽産業だから入らないほうがいい」と言ってしまいがちです。でも、そんなことを言ったら本当に全体が衰えていくだけです。特に電子書籍以降、本は明確に定義できなくなりました。
そこで「本の仕事がしたい」というとき、従来とは仕事の内容は変わると思うし、純粋に紙の本に関わって食べていける人は減るかもしれないですが、本と関わる仕事や活動はむしろ広がっています。
僕は、著書の中でそういった本と関わる仕事のスタートラインを引き直せたらと思っていました。書店に勤めていなくても、たとえばボランティアで本の読み聞かせをする人も、ブログで本を紹介する人も、みんな本を売っている、伝えているという意味で本屋であるといえます。そういう人たちを増やしていくことが、より豊かな本の未来をつくっていくのではないでしょうか。
廣田:広告業界にも「この業界はもうだめだ」と言う大人がいます。その一方で、若い世代に「そんなことはない。未来は明るい」と言い始める人たちが出てきています。なので、世代間で軋轢も出てきていて、時々先輩と喧嘩をしてしまうことも…。
そこで最近思うのは、言葉で説得して人の意識を変えるのは難しいということ。最近は「人を変える」という意識はなくなって、まずは「自分が変わる」しかないと思っています。まずは、自分が変わって新しい仕事をして、形にして見せることが大事なんじゃないかな、と。
みんな「変わらなきゃ」という意識はあるけれど、変われない人もたくさんいる。内沼さんはそういう状況をどう見ているんですか。
内沼:出版業界の人たちも、変わらなきゃと思っている人が多いと思います。一方で僕が「みなさん変わりましょう」と言うのは、ちょっとおこがましいと思っています。B&Bでやっているのは出版取次と呼ばれる会社を経由し、本を仕入れる既存の業界のインフラを使って運営している、いわゆる新刊書店のビジネスです。B&Bを開くまでも本とは関わっていましたが、自分がそうした業界のインフラを使って経営者になったのは初めてです。
今までは業界の外に軸足を置いたまま、思いついたことを形にしてきただけでしたが、やっと徐々に業界の中に入ってきたので、少しは胸を張って言わせていただけることが増えてきた、という感じです。
【「電通 廣田さんの対談」連載バックナンバー】
■takram design engineeringの田川欣哉さんに聞きに行く
・「自分で全部やってみたい人の仕事術」(前編)
・「自分で全部やってみたい人の仕事術」(後編)
■Sumallyの山本憲資さんに聞きに行く
・「リスクテイクする覚悟がある人の仕事術(前編)
・「リスクテイクする覚悟がある人の仕事術(後編)
■内沼晋太郎さんに聞きに行く
・「マージナルな場に飛び出す人の仕事術」(前編)
・「マージナルな場に飛び出す人の仕事術」(後編)※3月更新予定
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