【インタラクティブクリエイティブマスターコース】特別連載
第1回 「宮崎駿監督の引退会見にみる、心を動かすコミュニケーションの変化とは」
――澤邊 芳明(ワン・トゥー・テン・デザイン社長)
第2回 「インタラクティブなクリエイティブの企画の出し方のヒント」
――木下 謙一(ラナエクストラクティブ 代表取締役CEO/クリエイティブディレクター)
第3回 「Co−Creative = 協調型プロジェクトのすすめ」
――阿部 淳也一(ワンパク代表取締役 クリエイティブディレクター)
第4回 「音楽から考える、理想のクリエイティブ・チーム」
――村田 健一(ソニックジャム 代表取締役 チーフプロデューサー)
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木下 謙一(ラナエクストラクティブ 代表取締役CEO/クリエイティブディレクター)
インタラクティブなクリエイティブの特徴は定型がないところだと思う。
広告の多くは、例えばテレビCMであれば15秒の動画という媒体が設定する枠がある。これをどのように使うかというところにクリエイティビティの発揮が期待される。
広告に限らず、デザインというジャンルの多くは何らかの制限のもとに行われ、かつそれらの制限が(意外にも)クリエイティビティの源泉となっていることも多い。
「インタラクティブ」と一括りにされている様々な仕事だが、ざっくり言うと、ネットに接続出来るPCやスマホなどのデバイス上で展開されるものと、独自に開発したデバイスなどを用いたインスタレーション系のものに分けられる。
本来なら、この二つはかなり性質の異なる仕事だと思うのだが、ここ最近はそれらの双方を手がけるクリエイターや会社も多いようだ。
それは、この「インタラクティブ」というジャンルがテクノロジーによって強い影響を受けていて、現在のテクノロジーの急速な進展を取り込まざるをえない状況だからだろう。
ここに、インタラクティブクリエイティブの企画の出し方のヒントが二つあると思っていて、
枠をどのように設定するか?
新しいテクノロジーとどう付き合うか?
ということだと思う。
枠に関しては、テレビCMのような厳密なものはないが、PCやスマホのスペック、ネットの通信速度などによって大きな枠は決まっている。さらにユーザーによってそのスペックは異なるし、ユーザーの習熟度も異なる。
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同じくテクノロジーに関しても、ユーザーの多くは新しいテクノロジーそのものに興味があるわけではなく、それを用いた表現が面白いかどうかにかかっているので、最新の技術を使ってみたくなる誘惑に、クリエイターは今一度、その必然性について自問する必要があると思う。
アイデアを考える側はインタラクティブの専門家だろうから、どうしてもスペックの低い端末や習熟度の低いユーザーなどの行動に想像が及びにくいし、アイデア優先で、その辺りに目をつぶりたくなる気持ちも分からなくもない。ブレーンストーミングのメンバーにあえて専門外の人を招いて、自分たちの枠の設定が狭すぎないか?またテクノロジーがあまりに生々しく露出していないか?ということを一緒に考えるのもいいと思う。
インタラクティブのアイデアが多くの人に深く刺さるものになるかどうかは、その辺を考えられるかどうかにかかっている。
これは、インタラクティブなクリエイティブが今後、より普遍性を持つかどうかの試金石にもなってくると思う。
木下 謙一
ラナエクストラクティブ 代表取締役CEO/クリエイティブディレクター
1969年富山県生まれ。92年武蔵野美術大学 造形学部 基礎デザイン学科卒。92年NHKアート入社、未来技術研究所を経て96年独立。99年ラナデザインアソシエイツを設立。資生堂、パルコのウェブサイト等を手がけるほか、松任谷由実のCDジャケット、広告、マーチャンダイズのデザインを総合的に制作するなど、メディア間でのデザインのインテグレーションを得意とする。2007年にラナエクストラクティブを設立。現在のスタッフはグループで約60名。The One Show、東京ADC、TIAA、グッドデザイン賞など受賞多数。
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第1回 「宮崎駿監督の引退会見にみる、心を動かすコミュニケーションの変化とは」
――澤邊 芳明(ワン・トゥー・テン・デザイン社長)
第2回 「インタラクティブなクリエイティブの企画の出し方のヒント」
――木下 謙一(ラナエクストラクティブ 代表取締役CEO/クリエイティブディレクター)
第3回 「Co−Creative = 協調型プロジェクトのすすめ」
――阿部 淳也一(ワンパク代表取締役 クリエイティブディレクター)
第4回 「音楽から考える、理想のクリエイティブ・チーム」
――村田 健一(ソニックジャム 代表取締役 チーフプロデューサー)
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