また、あるクライアントの社長から相談を受けた時に、「おたくのプロダクトには改善の余地がたくさんあります。今の状態で無理にユーザーに売り込まないほうがいいです」と提言したことがあります。
今となっては、自分でも、どんだけエラそうなんだと反省していますし、水をぶっかけられていてもおかしくなかったでしょう。
でも、社長は僕の提案を理解してくれて、プロモーション予算をプロダクト改善に回すことからスタートすることになりました。
もちろん、広告の実施は相当の先送りになりましたが。
商品やサービスの告知を請け負うときでも、これまでのリーチ至上の発想ではなく、エンゲージメント発想に変わりました。
特にスタートアップやベンチャーなどまだ体力のない企業は、高額なメディアを活用してリーチを獲得することができません。
100万人を一瞬だけ振り向かせることに、コストをかけづらいのです。
そうではなく、まずは100人のファンとの深いコミュニケーションを実現し、その100人がそれぞれ周りの100人に影響を与え、その100人がそれぞれまた…という具合に100×100×100で100万人のつながりをつくっていくことを考えます。
それを実現するために、サービスやプロダクトの中に拡散のアイデアを内包させて、ユーザーがユーザーを引き込む連鎖反応をどう生み出すかを考えていきます。
言い換えれば、ユーザー体験が周りに可視化される仕組みづくり、ユーザー自身をタダでメディア化する仕掛けづくりということです。
という具合に、クライアントの成長を請け負うなどというと何か大それたことのように聞こえますが、現実はとっても地道な作業です。
本当に、まずはマインドセットだけ。
やることは、その後に必然的にでてきます。
僕も意気込みだけが先にあり、後になってコーディングを勉強しなければならなくなったり、学生時代の統計学の教科書をひっぱり出してきたり、ドタバタでの進行途上状態です。
実は世界中のグロースハッカーって、みんなそうなんじゃないでしょうか。
ちなみに僕は、グロースハッカーなどという、とんがった肩書がほしいわけではありません。
せっかくチャンスのある仕事をしているのだから、クライアントの活動やユーザーのベネフィットに、もっともっとコミットしたいというだけです。
どこまで背負えるか。どこまで覚悟があるか。
グロースハックとは、結局コミットメントの話なのだと思います。
「京井良彦」さんに関連する記事はこちら