【前回のコラム】「テクノロジーと「Wow」の関係は、ドラえもんに学べ」はこちら
先日、社内でグーグルグラスをかけている社員を見かけました。
しかし、メガネ越しにこちらを見られるとどうも気味が悪くて、僕は思わず顔を背けてしまいました。
本当にみんながこういったものを装着する時代がくるのでしょうか。
思えば昨年は、ウェアラブルデバイスやアプリ開発に関する相談を多く受けました(とはいえ、まだ実用化されたものはないのですが)。
僕の周囲でも「2014年はウェアラブル祭りになるかも」という雰囲気がプンプン漂っていました。
実際、1月にラスベガスで開催された「CES2014」でも大きく取り上げられていましたし、3月には「ウェアラブル・テック・エキスポ in 東京」も開催されました。
しかし、一時の盛り上がりに比べれば、ここに来て少しトーンダウンしているようにも感じます。
おそらく、僕も含めて「いや、これは簡単な話ではないぞ」と肌で実感し始めたからじゃないかと思います。
ウェアラブルデバイスが広告業界で注目され始めたのは、2012年にカンヌのチタニウム部門とサイバー部門でナイキのFuel Bandがグランプリを獲得してからでしょう。
これはカンヌが「広告祭」の看板を下ろし、「クリエイティビティ・フェスティバル」となって2年目の話で、広告におけるソリューションを実体のあるデバイス開発にまで広げた衝撃的な出来事でした。
広告業界の人々が「あれって広告?」とポカンとしている中で、カンヌは「みなさん、ついて来てますかー、いちいち説明しませんよー」という、まるで漫才のネタのようなメッセージを発信したのでした。
これにインスパイアされて、ウェアラブルデバイスの開発にチャレンジした業界関係者やクライアント企業も少なくないと思います。
しかし、その後ウェアラブルデバイスは、Fuel Bandのようなフィットネスタイプだけでなく、グーグルの「グーグルグラス」や、サムスンの「ギャラクシーギア」、そして噂されるアップルの「iWatch」など、本格的スマートデバイスとしての実用化へと進んできました。
つまり、ウェアラブルデバイスは一過性の流行りではなく、人々の生活、つまり僕たちの未来を変えていくものになってきました。
こうなってくると、クライアント企業にしても、ウェアラブルに関する取り組みを、デバイス開発であれ、アプリ開発であれ、単なるプロモーションの一環として捉えても仕方ありません。
ビジネスのコア戦略に関わってくるテクノロジーとして捉える必要があるわけです。
おそらくこれが、最近ウェアラブルがややトーンダウンしているように見える理由でしょう。