500人あまりの伊勢丹スタッフが本気で踊る、伊勢丹の“公式”PV「踊る!ISETAN-TAN-TAN」が、順調にPVを伸ばしている。4月の公開から約1カ月、まもなく35万PVに達しそうだ。全国各地の店舗から、伊勢丹スタッフが新宿店に集結し、売り場のあちこちでダンスを繰り広げる。この動画の企画について、三越伊勢丹ホールディングス 宣伝部長の早川徹氏に聞いた。
「そもそもの企画の発端として、『共感型の企業動画を作りたい』という想いがあったんです。その頃『恋するフォーチュンクッキー』も注目されていて、社員が登場する動画というのはいいと思った。ただし、やるなら伊勢丹しかできない独自の企画がやりたい。それから、従業員が登場する素人っぽさを売りにするのもやめようと思った。やるなら、しっかりトレーニングしましょう、と」
まず、楽曲は矢野顕子さん制作の公式ソング、「ISETAN-TAN-TAN」を使うことにした。矢野さんは大の伊勢丹好きとして知られ、1999年に自身で作った「ISETAN-TAN」という曲がある。昨年伊勢丹のタータンチェックを新しくした際に、伊勢丹より矢野さんに声を掛け、公式ソングとして新曲を制作してもらった経緯があった。
演出にもこだわった。振付はPerfumeの振付を手がけるMIKIKOさん、カメラも社員動画では定番の固定アングルのワンカメラをあえて採用せず、さまざまなカメラアングルに挑戦し、撮影した。出演するスタッフの中でも、特に難しいパートを担当するスタッフは、事前に動画を送ってもらい動画オーディションをする熱の入れようだった。「こうしたこだわりの積み重ねで『この動画は他とちょっと違うな』という印象をつくりたかった」という。
撮影は、2月の店舗休業日をフルに活用して売り場の各所で実施。また、舞台は伊勢丹新宿店が中心だが、海外店舗も含め各地の伊勢丹店舗で撮影したシーンも部分的に挿入される。
YouTubeでの配信開始後、「伊勢丹に行きたくなりました」「見ているうちに泣いてしまった」といったコメントも寄せられ、またPVを見た学生が応募してくるなど、広くリクルートまで含めたPR効果を生み出している。海外の店舗の中には、店内のビジョンで流されているケースもあり、YouTubeから世界の店舗にまで配信場所は広がり、海外における伊勢丹のブランディングにもつながった。
同社では、昨年3月に伊勢丹新宿店を大規模リニューアル、10月にはおなじみのタータンチェックのショッピングバッグをリニューアルばかり。三越でも、今年に入ってからショッピングバッグの刷新、日本橋三越のライオン生誕100周年記念イベントなど、ニュースが絶えない。次はどのようなアプローチで仕掛けるのか、注目したい。
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2014/5/15 本文の一部を加筆・修正いたしました
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