Communication Shift特別編——Yahoo! JAPAN 西田修一さんに聞く「検索にできること。広告にできること。」

2014年3月11日。
「検索は応援になる」という言葉がSNS上を駆け巡りました。
Yahoo!検索で「3.11」を検索すると、Yahoo! JAPANが一人につき10円を東北復興支援に寄付する「Search for 3.11」キャンペーンです。
250万人以上が検索したこのキャンペーンは、Yahoo! JAPAN 検索チームの西田修一さんがリーダーとなって生まれたもの。僕は、キャンペーンのクリエーティブを手掛けさせていただきました。
社会のために、広告にできることとは?検索にできることとは?
そして、その未来は—?

今年3月、アドタイでの対談連載Communication Shiftを元に、『Communication Shift 「モノを売る」から「社会をよくする」コミュニケーション』が書籍化されました。今回の対談は、その刊行にあわせてお送りする特別編です。

広告の未来の話をしよう。COMMUNICATION SHIFT(特別編)

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「Search for 3.11」キャンペーンWebサイト

並河:今回、「Search for 3.11」の企画のお手伝いをさせていただいて、いちばん印象的だったことがあります。

それは、Yahoo! JAPANが、「検索」というものに、ただ「調べる」だけじゃなくて、それを超える価値を見いだそうとしていたところ。

僕自身、3月に出した『Communication Shift』にも書いたことなんですが、「広告」というものが、それを超える価値を、どう見いだせるかをずっと考えていて。今日は、「Search for 3.11」の意味を振り返りつつ、そういう話ができたらと思います。

西田:Yahoo! JAPANは、「課題解決エンジン」という言葉をミッションとして掲げています。

検索なので、求められたことに対して、アンサーを返すというのが基本なんですが、社会の課題を解決するために、ヤフーには、もっとできることがあるはずです。

僕自身、検索のチームに来たのは去年の4月で、せっかくだから、新しい視点でチャレンジをしたいと思っていました。

ヤフーの検索に、新しい価値を持たせることができたら、といろいろ考えていく中で、ソーシャルグッドと検索のかけあわせで何かできないだろうかと「Search for Good」というコンセプトが生まれました。

そして、ちょうど東日本大震災から3年が経とうとしているタイミングに合わせて、今回の「Search for 3.11」を実施しようということになりました。

声をかけると二つ返事で参加を表明してくれたり、「それ、関わりたいです」と自らの意志で参加してくれる人がいたりとチームメンバーが少しずつ増えていきました。

並河:その頃に、僕らのチームが、西田さんに、「検索を使って3.11に復興支援の企画をやりませんか?」という自主プレゼンテーションをさせていただいて、それがきっかけとなって、お手伝いさせていただくことになりました。

そのとき、西田さんが、「Search for 3.11は、有志でやってるんです」とおっしゃっていたのを覚えています。

西田:こういう企画なので、基本的に「やらされている感」があったらだめだと思ったんです。自分がやりたいという人がやったほうがパワーがあるだろうと。

並河:西田さんが、チームメンバーのひとりひとりのモチベーションを、とても大事にしていることを感じました。今回の企画は、もちろん企業のキャンペーンなんですが、みんな個人的な動機で参加してくれていましたよね。応援団になっていただいた方もみなさん、ずっと東北の復興支援に関わってきた人たち。僕自身も、自身でも福島で活動するNPOの代表をしていて、風化を強く感じて、なんとかしなくちゃ、と思っていました。

そういう個人の気持ちが集まって、というところがよかったのかなと思います。

西田:でも、いざどんなキャンペーンにするかというところは、一緒にかなり悩みましたよね。

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並河 進(電通ソーシャル・デザイン・エンジン コピーライター)
並河 進(電通ソーシャル・デザイン・エンジン コピーライター)

1973年生まれ。電通ソーシャル・デザイン・エンジン所属コピーライター。ユニセフ「世界手洗いの日」プロジェクト、祈りのツリープロジェクトなど、ソーシャル・プロジェクトを数多く手掛ける。DENTSU GAL LABO代表。ワールドシフト・ネットワーク・ジャパン・クリエーティブディレクター。宮城大学、上智大大学院、東京工芸大学非常勤講師。受賞歴に、ACCシルバー、TCC新人賞、読売広告大賞など。著書に『下駄箱のラブレター』(ポプラ社)、『しろくまくん どうして?』(朝日新聞出版社)、『ハッピーバースデイ 3.11』(飛鳥新社)他。

並河 進(電通ソーシャル・デザイン・エンジン コピーライター)

1973年生まれ。電通ソーシャル・デザイン・エンジン所属コピーライター。ユニセフ「世界手洗いの日」プロジェクト、祈りのツリープロジェクトなど、ソーシャル・プロジェクトを数多く手掛ける。DENTSU GAL LABO代表。ワールドシフト・ネットワーク・ジャパン・クリエーティブディレクター。宮城大学、上智大大学院、東京工芸大学非常勤講師。受賞歴に、ACCシルバー、TCC新人賞、読売広告大賞など。著書に『下駄箱のラブレター』(ポプラ社)、『しろくまくん どうして?』(朝日新聞出版社)、『ハッピーバースデイ 3.11』(飛鳥新社)他。

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