——こうした企画に対して社内で反対の声はなかったのですか?
竹谷:私は第2弾からこの企画に携わりましたが、企画の立ち上げ段階では、そもそも「擬人化」とは何か?という説明をするだけで苦労し、どちらかというと堅いイメージのある会社ですので、反対意見も多かったと聞いています。
ただ、今のままブランドに頼り切って保守的にプロモーションするだけでは、いずれブランドが衰退、商品自体もどんどん下降線を辿ってしまうことをしっかりと説明。
また、ターゲット層はちょうど企画を最終決定する人たちの子どもと同世代であることから、「ご自身のお子さんたちの行動を思い出してみてください。この層の人たちはソーシャルメディアでコミュニケーションをとっているんです」という話をして説得していきました。
企画自体は一見奇抜に映るかもしれませんが、まずその必然性を示すこと。そして、相手が想像できる、理解できる内容に置き換えて話をすることが、企画を通すうえでのポイントではないかと考えています。
また、外部から企画提案を受ける際は「企画の新しさ、驚きがあるか」のみならず、メーカーとしてお客さまに私たちの商品を選び続けて頂くため、真摯にモノ作りに取り組んでいることをしっかりと踏まえた企画内容であることが重要です。
——ロングセラー商品だからこそ企画で注意していることはありますか?
竹谷:どんなに強い商品・ブランドだったとしても、いつかは成長から成熟、そして衰退へと向かいます。成熟した時点で「できることがない」と現状に甘んじてしまい歩みを止めてしまったら、その時点で商品・ブランドは存在価値を失ってしまいます。
まだやれていない何かが必ずあるはずと信じて、新たな企画の切り口を探し、日々挑戦を続けています。
武田:人生ゲームは40年以上の歴史の中で、50作以上を世に出しています。ときには、時代の変化とともに本来「変えてはいけない」と思われていたルールを思い切って壊すこともありました。
例えばそれまで1プレイ60分かかっていたのを30分でできるよう時短したことなどがそれにあたります。商品ブランドを守るために絶対に変えてはいけない部分はしっかりとおさえつつ、時代に合わせてテーマを変えて成長を続けていくことが長く愛される秘訣と考えています。
他にも、玩具業界外とのコラボレーションも積極的に進めることで、違った見せ方ができるようにしています。
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2014/05/26 本文の一部を修正いたしました