デジタルパフォーマンス広告に特化
グローバルなテクノロジーカンパニー
Criteoの日本オフィスが設立されたのは2011年のこと。現在、アジア太平洋地域のヘッドクオーターとしても機能している。
消費者・ユーザーの閲覧・購買履歴をもとに、興味や関心が高い商品を推測し、再訪につなげる広告を瞬時に生成・配信し、サイトへの再誘因をタイムリーに図ることができるため、特にEC事業者や旅行、クラシファイド広告(数行の広告情報を一覧で掲載するもの)事業者での利用が進んでいる。楽天市場、リクルート、ヤフーといった国内大手の事業者に導入実績があり、90%という高い顧客維持率を誇っている。
「これまでは特に、サイト内の商品や情報の点数、ユーザー数の多い事業者からの支持が高かったが、今年から本格的に商品数の少ない広告主向けの広告ソリューションの提供も開始しており、金融、健康食品、ITテレコムなどの事業者にも採用されている」と天野氏は話す。
広告主から支持されるもう一つの大きな理由は、大手ネットワーク事業者との提携に加えて、各国・各地域でパブリッシャーと直接取引し、プレミアム枠を抑えていることだ。Criteoは日本でも新聞社や大手ポータルサイトと契約をしているが進出2年目にはYahoo!JAPANとの独占提携をしている。
CRITEO株式会社
Director Head of Strategic Sales
天野 耕太氏
Criteo入社前はInMobi、ヤフー、オーバーチュアに在籍。日本のモバイル広告の創成期をつくってきた一人として「Criteoはデジタル広告市場を真に活性化できる会社だと思っている。今後、モバイル領域中心にソリューションに日本での事業が大幅に拡大していくので、ぜひモバイルやデジタル広告領域で経験のある新たなメンバーに入ってきてほしい」と話す。
モバイルWebで先行する
日本市場の新たな取り組み
そんな同社が今、グローバルで力を入れるのがマルチデバイスへの対応だ。特にスマホ経由のWebサイトアクセスに対応したソリューションの開発に注力し社内体制が構築されている。
「フィーチャーフォン時代にすでに、携帯からWebサイトを利用する習慣が根付いていた日本はある意味特殊な市場が存在。スマホが浸透した今、世界的に見てもモバイルWebの先進国と言える状況にある。昨年の時点で主にAndroidでCriteo日本オフィスの売上全体の約18%をスマホ向けの配信が占めており、今年に入りさらにiOSを対象とすることによって、ますますその売り上げは拡大していくことが見込まれる。特に先行する日本のマーケットに対する期待感は強い」という。
スマホからのWebサイトアクセスのみならず、今年第1四半期には「アプリ内デジタルパフォーマンス広告ソリューションβ版」の提供を開始することを発表。ユーザートラッキングが難しいとされるアプリへの配信実験もスタートしている。日本では第2四半期中に提供を本格的に開始し、天野氏の部門を中心に、パイロットケースをつくっていく予定だ。
同ソリューションはアプリ内でのユーザーの商品閲覧行動をもとに、閲覧した商品のデータを広告クリエイティブコンテンツに反映。スキームはPCやモバイルWebと同じだが、別のアプリを閲覧している際に広告バナーとして表示するための技術的なチャレンジが存在する。
天野氏によれば、「Criteoの既存モデルでは、ユーザーを広告主のWebサイトの個別商品・コンテンツページに直接送り届けることで高い効果を実現させてきた。同じ仕組みをアプリ間で実現するためには、『ディープリンク』(アプリの中の特定商品・コンテンツを、別のアプリ使用時にも直接指定するための仕組み)を実現させる必要がある。Criteoではフランス、米国のR&Dチームを中心にこれを可能にする技術を確立すると同時に、米国内ではモバイルマーケティング大手数社と連携し、『モバイル・ディープリンク』普及に向けた活動も始めている」という。
「リターゲティング・レコメンデーション広告」領域にフォーカスすることで世界的な成功を収めたCriteo。「この優位性を活かしつつ、さらなる成長を目指して企業として次なるフェーズに入ろうとしている。多様な方向で成長戦略を立てているが、その取り組みの一つが、スマホへの対応をはじめとするデバイスフリーの戦略」と天野氏は話す。
■Criteo HP
http://www.criteo.com/jp/criteo