アイデアの力で差別化を生む
——ソーシャルグッドとマーケティングは両立するでしょうか。
シェルバ:当社の場合、CSRとマーケティングの組織は完全に分かれていますが、マーケティング部の中にCSR担当者をアサインしてもらい、定期的に戦略を組み立て、どのような情報発信をしていくかを検討するなど連携しています。
とはいえ、売上に直結する活動ではないCSRと、短期的に成果を出さなければならないためにインパクトのある活動を求めるマーケティングとでは、ぶつかることもあります。CSR活動は、何より継続、進化させていくことを念頭に置かなければなりませんから、その点は難しいです。
福井:シェルバさんの冒頭の話にありましたが、「ソーシャルビジネス」という言葉も使われているように、特にグローバル企業では、そうした活動なしには海外で出店もできません。絶対条件になってきているのです。
また、IRの面でも、社会貢献活動が株価を左右するケースも出てきていますから、CSRが企業の戦略において柱になっていくことは、間違いないと思います。
シェルバ:今ちょうど課題になっているのは、CSRの取り組みが増えすぎて、企業姿勢が見えづらくなりつつあることです。あれも良い事だからやろう、これもインパクトがある事だからやろう、などと色々と活動し過ぎても駄目です。
「服のチカラ」というCSR活動のコンセプトやブランドイメージに合致し、かつ持続性もあることを心掛けています。
福井:人の心を動かして、皆さんを巻き込むという時には、あまり真面目だと予定調和になってしまって、やっていても面白くありませんよね。何か面白いアイデアがそこにあれば、それ自体が企業活動としても差別化につながります。そんなアイデアを探す、考えることが大切なのではないかと思います。